一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 知っているようで知らない保険3

前回は自賠責保険(自動車賠償責任保険)と任意上乗せの自動車保険について説明致しました。

今回はいよいよ任意保険である自動車保険について説明して行きます。

自動車保険で良く耳にする補償は、「対人賠償「と「対物賠償」

ではないでしょうか。

対人と対物を「他人」と「他人の物」と読み替えてください。

任意保険では、ご自身の家族は他人ではないので補償の対象外となります。母親が運転する車で自分の子供を轢いてしまったと云うニュースは毎年聞かれますが、家族を轢いても保険金は受け取れません。

バックの際、自分の車庫にぶつかってしまった等、自身の所有物の損害に対しては保険金は受け取れません。

また、ここが非常に重要なのですが、補償金額が<無制限>になっていても賠償すべき金額全てが支払われる訳ではありません。

実損填補の考えから「過失」と「価値」によって支払われる保険金は変わります。

<無制限>とは、保険金を支払う上限は無いと云う意味で、無制限に全額支払われるということではありません。

例えば、健康な90歳のおじいちゃんを100%こちらが悪い状況で轢いてしまい死亡させた場合、<90歳男性の平均余命を計算し、今回の事故で死亡しなかった場合の総収入(年金など)と平均余命まで生きた場合の総支出を算出します。総収入から総支出を引いて出た金額が<逸失利益>といわれるもので、この金額が対人賠償保険金の基準となり、その金額から相手の過失を引いた金額がこちらの賠償金額となります。

対人賠償<無制限>に加入していても上記の例の場合は、任意保険から支払われる保険金は、数百万円程度にしかならないでしょう。その金額に遺族が納得できるかという問題が出てきます。

10年前に新車で取得した車にこちらが過失10割で一方的にぶつかった場合、相手のその車の中古車相場から賠償金額が算定されます。中古車相場で20万円だった場合、修理費の方が高くなってしまうかも知れません。そのような場合でも相手車の相場価額が対物賠償保険金の算定額となり、修理に足りない金額は保険からは支払われません。相手は何も悪くは無いにもかかわらず、修理との差額は支払われません。相手は納得してくれるでしょうか?

対人賠償・対物賠償共に<無制限>に入っていても損害保険は実損填補の考えから不足金が発生する場合が多くあります。

どうぞ無制限補償に入っていても、安心しないようにしてください!

 

 

 

 

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