一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

ものづくり補助金の17次公募が公開


昨日、12/27にものづくり補助金の17次公募に関する情報が公開されました。

ただし、今回は通常の枠となる「製品・サービス高付加価値化枠」や「グローバル枠」は募集が行われず、「省力化(オーダーメイド)枠」のみでの公募となります。

 

「省力化(オーダーメイド)枠」は、令和5年度補正予算(2024年実施)によって新設された枠で聞きなれない方も多いと思います。そこで今回は、「省力化(オーダーメイド)枠」についての説明と、これまでのものづくり補助金の公募からの変更点について解説していきたいと思います。

省力化(オーダーメイド枠)とは


 

まず公募要領によると、下記のように定義されています。

“人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援します。”

 

このうち、デジタル技術等を活用した専用設備についても下記のように定義されています。

“デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)のことをいいます。デジタル技術等を活用せず、単に機械装置等を導入する事業については、本事業の対象とはなりません。 ” 

 

以上をまとめると、下記2点がポイントとして挙げられます。

・人手不足の解消と効率化や高度化が図れる取り組みであること

・導入する設備やシステムは既製品ではなく自社のために企画、提供されるものであること

 

イメージが湧きますでしょうか。

次に、省力化(オーダーメイド)枠の概要を見ていきたいと思います。

 

省力化(オーダーメイド)枠の概要


まず、補助金額の上限や補助率等については、上記の表の通りです。

仮に小規模企業の場合は、通常の場合750万円~1,500万円が補助上限となることにご注意ください。

 

また、スケジュールについては、下記の通りとされています。

・公募締切  :2024年 3月 1日17時

・補助事業期限:2024年12月10日(厳守)

・補助金の請求:2025年 1月31日(厳守)

上記のうち、事業実施期間(発注、納品、検収、支払を行う期間)は、交付決定日から2024年12月10日となります。これまでのものづくり補助金に比べて、かなり短縮されていますので、注意が必要です。

これまでからの変更点①「追加要件」


 

大きな変更としてはまず、先ほどの補助事業期間が12月10日までとなることが挙げられます。これまでは約1年が補助事業期間となっていましたが、今回の事業期間は約半年程度となることが見込まれます。

 

また、これまでのものづくり補助金とは異なる追加要件として下記を事業計画書の中で示すようにと指示されています。

 

「3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して労働生産性(※)が2倍以上となる具体的な内容と根拠 」を記載すること

※「付加価値額÷(労働人数×労働時間)」により算出

付加価値額とは、「営業利益、人件費、減価償却費を足したもの」と定義されておりますので、設備導入前と後で、どのように変わるのか具体的に説明する必要があるとのことです。

 

・3~5年の事業計画期間内に、投資回収可能な事業計画を策定すること

※ 投資回収年数は「投資額÷(削減工数×人件費単価)」により算出

工数ごとの人件費単価が分からないと、こちらの算出ができませんので、非常に難しいです。

また、比較的これまでに人件費を割いていた工程を、自動化又は半自動化していかないと、3~5年での投資回収は難しいと思われます。

過大な設備投資では要件を満たせない可能性が高くなります。

 

・外部SIerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSIer間で締結することとし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること

この辺りの説明も連携する事業者の説明として、事業計画書内で示していく必要があるでしょう。文章だけではなく、図示できるといいと思われます。

 

・金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出すること

金融機関から必要な資金を調達する場合、その旨を、金融機関に相談し、確認を受ける必要があります。貸借対照表などの財務諸表上に、現預金が有り余っている場合は、このような説明は必要ないですが、無い場合は、「金融機関からの資金調達を行う」ことにかんする説明は、これまでも重視されてきていました。

ただし、これまでは、「メインバンクである〇〇に相談し、前向きであるとの返答をもらっている」程度の記載で良かったものが、確認書が必要(銀行内での確認書押印の決裁)が必要という点で注意が必要です。

これまでからの変更点②「審査項目」


 

次に、審査項目として従来の審査項目に加えて下記の項目が追加されています。

 

・システム開発については汎用的に利用できるパッケージシステムを元に、顧客の希望に合わせて機能を追加するなどのカスタマイズを行う開発方式や、システムやソフトウェアをゼロからオーダーメイドで開発する開発方式となっており、オーダーメイドの取組になっているか。

 

・人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等となっている

 

⇒つまり、デジタル技術を活用したオーダーメイドの設備やシステムの導入によって、生産・サービス提供方法の高度化を実現し、人手不足の解消を図れる取り組みであるかが重要なポイントとなります。

これまでからの変更点③「口頭審査の導入」


 

今回公募より、ものづくり補助金としては初めての取り組みとなる「口頭審査」が導入されます。

主な目的としては、「補助申請額の高い取り組みに対して、慎重に内容を深堀して審査したい」と思われますが、昨今、多くの補助金で違法な代理・代行申請が問題視されている為、事業者自身が策定し、申請したものであることを確認する目的もあると考えられます。

 

このような計画とみなされないように、「コンサル主体の計画」や「補助金ありきの計画」ではなく、実際に自社の分析を通じて見えてきた「課題を解決」するための計画を立案して、申請していくことが重要と思われます。

今後の補助金について


 

近年、日本では急速な為替相場の変動や、物価高騰等により、民間企業に対して賃金の引き上げが強く求められています。補助金についても、2023年においては、「賃金引上げ枠」や「大幅賃金引上げ枠」なるものが創設されておりました。

 

2024年においては、その動きは継続しながらも、今回のものづくり補助金のように更なる賃上げを引き起こすべく、企業に対し「省力化」がテーマの一つとして求められるようです。

もし、自社の業務で課題と感じていること、課題を解消したいと考えていらっしゃる方がいれば、ぜひ当社までお問い合わせください。

https://yc-office.jimdofree.com/
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【商工会議所の元経営指導員、企業経営アドバイザー】 "補助金・融資に強い”経営コンサルタントです! ご不明点、ご相談等ございましたらお気軽にご相談ください。

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