近年、ChatGPTをはじめとする生成AIが急速に普及し、「もう人がプログラムを書かなくてもいい時代が来る」と言われるようになりました。
特に、事務作業の自動化や業務効率化の分野では、「AIが全部やってくれるのでは?」という期待と不安が入り混じっています。
かつて業務効率化の主役だった ExcelVBA(Visual Basic for Applications) も、その流れの中で立ち位置を問われるようになっています。
では、VBAは本当に不要になっていくのでしょうか?
今回は、現場の実感も踏まえて「AIではなくVBAが選ばれる理由」を考えてみたいと思います。
ExcelVBAは長年にわたり、現場レベルでの自動化ツールとして親しまれてきました。
プログラミング知識がなくても、Excelの延長線上で使える手軽さが魅力です。
特に以下の3点が、VBAが支持されてきた理由と言えるでしょう。
✅ 社内データとの親和性が高い
Excelをベースにした仕組みのため、既存の帳票や管理シートをそのまま活かせます。
専用システムを導入しなくても、現場の業務にフィットした仕組みを作れるのが強みです。
✅ 導入コストが低い
新しいツールを導入するには、契約・教育・セキュリティなど多くのハードルがあります。
VBAならOfficeがあればすぐに実装でき、追加費用もほとんどかかりません。
✅ 細かい制御ができる
現場特有の“例外処理”や“ちょっとした調整”を柔軟に対応できる点も、業務現場では大きな魅力です。
AIが急速に進化しているのは確かです。
自然言語で「この作業を自動化して」と指示すれば、PythonやVBAのコードを生成してくれることも増えました。
しかし、実際の業務現場では次のような課題が残っています。
✅ AIが生成するコードは汎用的すぎて、現場のExcel構成に合わない
✅ 会社のセキュリティ上、AIサービスを業務で使えない場合が多い
✅ エラーが出たときの修正やメンテナンスをAI任せにできない
つまり、「AIは“作る”ことはできても、“現場に合わせて運用する”ことが難しい」状態なのです。
この“最後の調整役”こそ、人間とVBAの出番です。
今後もAIは進化し、Excelとの連携もどんどんスムーズになるでしょう。
しかし、それでもVBAが完全に姿を消すことはないと私は考えています。
理由は次の3つです。
☑ 現場理解に基づいたロジックが組める
AIは「何を自動化したいか」の意図を完全には理解できません。
現場のフローや担当者の感覚を理解して組むVBAには、“人間らしい設計”があります。
☑ 既存システムとの橋渡し役になる
社内には古いシステムやAccess、CSVデータなどが混在しています。
これらを一時的に結びつける“つなぎ役”として、VBAは今も重宝されています。
☑ 自分で修正・改善できる安心感
外部ツールやAIが生成したコードは、ブラックボックス化しがちです。
一方VBAは、自分で読めて、自分で直せる。
現場にとってこれ以上の安心感はありません。
AIが進化しても、「現場を知る人」が手を動かす自動化の価値はなくなりません。
AIとVBAは敵対するものではなく、むしろ 「共存・補完し合う関係」 にあります。
AIが汎用的なコードを提案し、VBAが現場に合わせて仕上げる。
その役割分担こそ、これからの業務効率化の新しい形だと思います。
これからの時代、VBAエンジニアに求められるのは「AIを活かせる力」です。
AIに任せられる部分は任せ、人にしかできない“設計と判断”に集中する。
それこそが、ExcelVBAがこれからも現場で必要とされる理由です。
ExcelVBAの導入をお考えならbee-plusへお任せください