一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • ウォーミングアップの本当の意味とは?

今回はウォーミングアップの目的について解説していきます。

スポーツや運動を始める前に「とりあえず軽く走っておこう」とジョギングだけでウォーミングアップ(準備運動)を済ませていませんか?
確かに走ると体を温めることは出来ますが、それだけでは“ウォーミングアップ”としては不十分です。ウォーミングアップの目的は単に汗をかくことではなく、体と脳を「これから動くぞ」という状態に切り替えることにあります。

人の体は体温が1℃上がるだけで、筋肉の柔軟性や神経伝達のスピードが向上し、関節の可動域も広がります。つまり「動きやすい体」になるわけですが、ただ走るだけでは特定の筋肉ばかりが働き、実際のスポーツに必要な関節や筋肉が十分に準備できていないことがあります。その結果、筋肉や腱が急に伸ばされ、肉離れや捻挫といったケガのリスクが高まってしまうのです。

では、どんなウォーミングアップが理想的なのでしょうか。
ポイントは「動きながら準備を整える」ことです。例えば、軽いジョグから始めて体温が上昇してきたら動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)を組み合わせるて各関節を大きく動かすことです。

代表的なものに「レッグスイング(脚振り)」や「アームサークル(腕回し)」などがあります。これらは動作中に関節を大きく動かすことで、筋肉や神経を実際のパフォーマンスに近い状態に整えていく準備として適しています。

また、競技特性に合わせた動作を取り入れることも重要です。サッカー選手であれば、ステップワークや軽いドリブル、バスケットボールならサイドステップやジャンプ動作を入れるなど、「本番に近い動き」へ段階的に移行していくのが理想です。プロの現場でも、最初は全身を温め、次の段階で競技動作や今日の練習内容に繋がる動作を行という流れを大切にしています。

もうひとつ見落とされがちなポイントが、「脳の準備」です。

神経系の準備と言い換えても良いのですが、ウォーミングアップの中で体を動かしながら動作だけでなく、動作の速さやその目的に意識を向けると、集中力が高まり、瞬間的に判断をする準備をすることにもつながります。

つまりウォームアップは単なる体の準備ではなく、メンタルのスイッチを入れる時間でもあるのです。

忙しい日や、軽く運動するだけの日でも、「とりあえず5分だけでも体とメンタルを整える時間を取る」。それだけでケガのリスクは確実に下がります。ウォーミングアップは、トレーニングの“前菜”ではなく、本番のパフォーマンスを引き出す大切な儀式なのです。

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