与党による 令和7年度税制改正大綱 が2024年12月20日に公表されており、1月はその内容を実務者が把握・準備を始める時期となりました。
また、納税環境・企業倒産の状況が改めて表面化。例えば、2025年1月の「税金(社会保険料含む)滞納」関連倒産は10件。
このように、税制改正・実務対応・経営リスクという三方向で「いつも以上に駆動力を持つ月」といえます。
以下は特に注目すべき改正・見直し事項です。
中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制の適用期限延長・要件見直し。
リース税制、非適格合併に係る調整勘定の明確化など、法人税関連の改正検討が進行中。
新たに、いわゆる「防衛特別法人税(仮称)」の創設検討。法人税額に対し付加税の検討が始まっており、適用開始は令和 8 年4月1日以降が予定されています。
所得税・基礎控除、給与所得控除の見直しが検討されており、物価上昇・就業調整の観点から控除額の調整が視野に入っています。
住宅ローン控除・子育て世帯向けの住宅控除拡充も大綱に含まれており、特に年齢・扶養・子育て状況を踏まえた控除適用がテーマです。
消費税関連で、特に「デジタルプラットフォーム課税」対応が注目されています。
電子取引データ保存制度の見直しも明確に示され、電子帳簿義務の将来的な強化・重加算税の適用見直しが検討されています。
OECD/G20「税源浸食と利益移転(BEPS)包摂的枠組み」対応として、軽課税所得ルール(UTPR)・国内ミニマム課税(QDMTT)等の法制化が視野に入ってきました。
海外子会社合算税制(CFC)見直し等、国内法人の国外展開スキームにも影響が出る可能性があります。
顧問先企業(特に中小企業)には、改正項目・適用期限延長の有無・要件変更を年初から説明・整理することが重要です。
税務監査・会計監査連携の観点から、リース取引・設備投資・電子取引データ保存など「制度変更を前提とした処理見直し」が増えています。
個人所得者・子育て世帯に対しては、控除見直し・住宅関連税制の拡充があるため、年末調整・確定申告準備の早期着手を推奨します。
海外展開企業には、国際課税ルールの整理(BEPS対応・UTPR/QDMTT)を早期に助言できる体制準備が必要です。
倒産・納税滞納のリスクが改めて浮上しており、顧問先のキャッシュフロー・納税スケジュール管理支援を強めることが望まれます。
2025年1月は、制度改正の「準備期」、実務対応の「始動期」であり、会計・税務事務所としては「改正大綱把握 → 顧問先影響整理 →初期対応設計」の流れを確立しておくべきです。特に中小企業・個人顧問先・国際展開顧問先に対して差がつきやすい段階です。