一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 北海道の冬が来る前に──安心して走るための準備ガイド

10月も後半に入ると、北海道ではすでに朝晩の冷え込みが厳しくなり、初雪の話題もちらほら。
冬の備えは「雪が降ってから」では遅いんです。
今回は、車を使う全ての人に向けて、冬を安全・快適に乗り切るための準備ポイントをまとめました。

① 車のメンテナンスは「予防整備」が基本

冬は、車にとって最も過酷な季節。
冷え込みによってバッテリーの性能は低下し、エンジンオイルは粘度が上がって始動性が悪くなります。

✅ チェックすべき主な項目
• バッテリー:電圧12.4V以下なら要注意。2年以上使っている場合は交換を検討。
• エンジンオイル:冬場は低温始動性に強い「0W-20」などの低粘度オイルが◎。
• 冷却水(LLC):凍結防止のため濃度チェック必須。比重計で−40℃対応なら安心。
• ワイパー・ウォッシャー液:冬用(−30℃対応)のものに入れ替え。
• ゴム部品・ドアパッキン:凍結防止のためにシリコンスプレーで保護。

💡うんちくポイント
実は、冬場の「朝エンジンがかからない」原因の半分以上はバッテリー劣化。
寒冷地では、電解液の化学反応が鈍くなり、性能が30%近く落ちることもあります。

② タイヤ交換とそのベストタイミング

北海道では「いつ替えるか」が命運を分けます。
多くのドライバーが慌てて交換するのは初雪予報の直前。
しかし、整備工場やガソリンスタンドが混み合うため、10月下旬〜11月初旬には交換を済ませておくのが賢明です。

✅ スタッドレスタイヤのチェックポイント
• 残り溝は**新品の50%以下(4mm未満)**なら性能低下。
• 製造年数が4年以上ならゴムが硬化して滑りやすくなる。
• 空気圧は気温が下がると自然に下がるので、夏より0.2kgf/cm²高めに設定。

💡うんちくポイント
冬タイヤのゴムは“柔らかさ”が命。
たとえ溝が残っていても、硬くなったタイヤは「氷の上ではスケート靴」と同じ。
触って弾力がなくなっていたら即交換です。

③ 冬用の作業着選び──「暖かさ」よりも「動きやすさ」

除雪や積み込み作業では、暖かさだけでなく作業効率が重要。
厚着しすぎると動きが鈍くなり、転倒や事故の原因にもなります。

✅ 冬作業着のポイント
• 防風・防水・透湿素材(例:ゴアテックス系)が理想。
• インナーは発熱系(ヒートテックやボアインナー)を重ね着。
• 足元は防寒長靴+滑り止めスパイク付きが安全。
• 反射材付きウェアは、吹雪や夜間作業時の安全確保に◎。

💡うんちくポイント
実は、汗をかいた後の“冷え”が一番危険。
「中は暖かく・外は通気性よく」が、プロの冬装備の鉄則です。

④ 繁忙期に車を壊さないための意識づくり

冬の配送・運送業はまさに繁忙期。
車が止まれば仕事が止まる──だからこそ日々の点検と意識が大切です。

✅ 意識すべき習慣
• 朝の出発前にタイヤ・灯火類・ブレーキランプを毎回確認。
• エンジン始動直後は30秒ほどアイドリングしてから発進。
• 異音・異臭を感じたら「次でいいや」と放置しない。
• 雪道では急ハンドル・急ブレーキ厳禁。ABSの作動を過信しない。

💡うんちくポイント
車の寿命を縮める一番の原因は「冷えた状態での急発進」。
エンジンオイルが全体に行き渡る前に高回転をかけると、金属摩耗が一気に進みます。

⑤ その他の大切な準備

冬の備えは、車だけでは終わりません。
緊急時やトラブルに備える“持ち物”も重要です。

✅ 冬の車載必需品リスト
• ブースターケーブル/ジャンプスターター
• スノーブラシ・スコップ・けん引ロープ
• 毛布・防寒グッズ・カイロ
• 懐中電灯・非常食・水
• スマホ用モバイルバッテリー

💡うんちくポイント
北海道の冬は、一晩で車が雪に埋まることも珍しくありません。
万が一立ち往生しても、これらがあれば命をつなぐことができます。

まとめ:準備は「早め・丁寧・余裕をもって」

冬の北海道では、「まだ大丈夫」が一番危険。
車も人も、気温が下がる前に準備を整えておくことで、余裕をもって冬を迎えられます。

早めの点検と、日々の小さな意識が、繁忙期の大きな安心につながるのです。

The following two tabs change content below.

加藤 博進

この記事をシェアする

  • Twitterでシェア
  • Facebookでシェア
  • LINEでシェア