New RelicとDatadogはいずれもフルスタックなオブザーバビリティプラットフォームですが、設計思想・価格体系・学習コストが異なるため、ユースケースによって向き不向きが分かれます。
共通するコア機能として、APM(アプリ性能監視)、インフラ監視、ログ管理、分散トレーシング、RUM/ブラウザ監視、Kubernetes監視などはどちらもカバーしており、基本的な可観測性要件はどちらでも満たせます。
Datadogはインフラ・クラウド監視、セキュリティ監視、統合数の多さ、ダッシュボードやアラートの柔軟性に強みがあり、大規模・複雑なクラウド環境を細かくチューニングしたいケースで評価されることが多いです。
New Relicは「素早く導入して全体を俯瞰する」ことに重きが置かれており、UIが比較的分かりやすく、APMとログ・インフラ・ブラウザ監視を一つの画面から扱いやすい構成になっています。
学習コストの面では、New Relicの方がセットアップや初期運用が簡単で、Datadogはカスタマイズ自由度が高い分、使いこなすにはやや高度なスキルを要求される、という評価が一般的です。
Datadogは「機能ごとの従量課金+ホスト(もしくはコンテナ数など)ベース」のモジュラー型で、APM、インフラ、ログ、セキュリティなどを個別に契約するモデルです。
必要な機能だけ選べる柔軟性がある一方で、サービス数やログ量が増えると料金が読みづらくなり、「想定より高くついた」という声も少なくありません。
New Relicは「ユーザー数+データ量(GB)ベース」の消費課金で、プラットフォーム上の機能は基本的にすべて含まれる形になっています。
小〜中規模でユーザー数が限られている場合、機能を追加しても料金構造があまり変わらないため見積もりが立てやすく、一定容量までは無料枠も用意されています。
一般論として、インフラリソース数や機能数が増えやすい構成ではDatadogが割高になりやすく、逆に監視対象はそこまで多くなく「少人数でスタック全体を見たい」ケースではNew Relicがコストパフォーマンスに優れると評価されることが多いです。
小規模なWordPressサイトや中小規模のWebサービスなどでは、次のような観点で選ぶと判断しやすくなります。
チーム規模が小さく、SRE/Observabilityの専任がいない場合
セットアップが簡単でUIも分かりやすいNew Relicの方が導入障壁が低く、アプリ・インフラ・ログをまとめて俯瞰しやすいためおすすめです。
すでに多くのSaaS/クラウドサービスを利用しており、細かいメトリクスや高度なダッシュボード・アラート設計を行いたい場合
Datadogの豊富なインテグレーションと柔軟なアラート機能が活きるため、将来的に大規模化を見据えるのであればDatadogも有力な選択肢です。
典型的な小〜中規模システムでは、「まずはNew Relicで全体を可視化し、要件が高度化してきたらDatadogなど他ツールも検討する」というステップを踏むケースが現実的な落としどころになりやすいです。