一般社団法人 全国個人事業主支援協会

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  • 投稿者:松川 健大
  • なぜAnthropicは元OpenAI人材が多いのか

1) 出発点が“安全性派のスピンアウト”だった

Anthropicは2021年に、OpenAIの元メンバーが中核となって創業しています(Dario/Daniela Amodei、Jared Kaplan、Jack Clark、Ben Mannなど)。ウィキペディア
つまり「元OpenAIが多い」のは偶然ではなく、組織の成り立ちそのものです。


2) OpenAIの商用化・スピード重視路線と、価値観が割れた

Anthropic側は、OpenAIが商用化とプロダクトの速度を上げる方向へ進む中で、
「安全性を最優先する設計思想」を別会社として実現しようとした、という説明が一貫しています。

  • Amodei本人も「Microsoftとの取引が嫌で辞めた、というのは誤り。ビジョンの違いで、自分のビジョンを実現するために独立した」という趣旨を述べています。Inc.com

  • 報道ベースでも「OpenAIが速すぎる方向に進むことへの懸念」が創業の背景として語られます。アーステクニカ

要するに、“速度で勝つOpenAI”と、“安全性で勝つAnthropic”の戦略分化が起きた、ということです。


3) Anthropicは「安全性研究が主戦場」になる組織設計をした

Anthropicは安全性を単なるスローガンではなく、手法・研究として前面に出しています。代表例がConstitutional AIで、AIが従う原則(憲法)を明示し、学習・調整の枠組みに組み込む発想です。Anthropic+1

この方針は、OpenAIで安全性・アラインメントに強く関与していた人材にとって、
**「自分の専門性が組織の中心に置かれる」**環境になりやすい。


4) 人材は“ネットワーク”で動く(創業コアがOpenAI出身だと引き寄せが起きる)

スタートアップにおける採用は、実務上かなりの部分が

  • 以前の同僚

  • 同じ研究コミュニティ

  • 共著関係
    で決まります。

Anthropicの創業コアがOpenAI出身だと、優秀層にとっては

  • 文化が想像しやすい

  • スキル互換性が高い

  • 共同研究の延長で移れる
    という形で移籍障壁が下がります。結果として同窓会効果が生まれます。


5) 近年の「安全性人材の移籍先」としての吸引力が強い

直近でも、OpenAIの安全性・アラインメント周辺の離職が報道され、Anthropicへ移ったケースが取り上げられています(例:Jan Leikeなど)。Business Insider
この流れは、「安全性をやるならAnthropic」という市場でのポジショニングをさらに強化し、追加の人材流入を生みやすくします。


まとめ:理由は「構造」そのもの

Anthropicに元OpenAI人材が多いのは、ひとことで言うと、

OpenAIの“速度・プロダクト中心”への進化に対し、同じ最先端で“安全性中心”を貫くためのスピンアウトとしてAnthropicが生まれ、その後も安全性人材の受け皿として吸引し続けているからです