― 決算・改正・実務対応が一気に動いた月 ―
3月は税務実務において、毎年「情報と判断が最も集中する月」です。
2025年3月も例外ではなく、税制改正の確定、3月決算法人対応、申告実務の運用変更など、実務家として押さえておくべき論点がいくつもありました。
今回は、2025年3月という月を振り返る形で、重要トピックスを整理します。
―「検討段階」から「前提条件」へ ―
3月最大のトピックは、やはり2025年度(令和7年度)税制改正の確定です。
年明け以降「方向性」として語られてきた改正内容が、3月末にかけて国会手続きを終え、
**「実務上の前提条件」**として扱うフェーズに入りました。
2025年4月以降開始事業年度を見据えた影響整理が必要
法人税・所得税ともに「中長期で効いてくる改正」が多い
顧問先への説明も「可能性」ではなく「確定事項」として行う段階に
3月は、制度を覚える月ではなく、どう影響させるかを考える月だったと言えます。
― 改正×決算の重なりに注意 ―
3月は、3月決算法人にとっての年度末。
2025年3月期は、直前改正の影響が混ざりやすい決算期でもありました。
賃上げ促進税制などの適用要件の最終確認
外形標準課税・実効税率の見直し影響
各種租税特別措置の「使える/使えない」の線引き
「例年どおり」で処理すると、
改正の適用漏れ or 誤適用が起きやすい年度だったのが特徴です。
― 書面文化からデジタル前提へ ―
3月は、制度そのものよりも
「税務署との付き合い方が変わった」ことを実感した月でもありました。
e-Tax前提の運用が完全に定着
提出事実の管理・証跡の残し方が変化
「紙で出せば安心」という感覚の終焉
これは一時的な変更ではなく、
今後の税務実務のデフォルトが切り替わったと捉えるべき動きです。
― 直接関係なくても“無視できない”段階へ ―
3月は、国内実務が忙しい一方で、
国際税務(グローバル・ミニマム課税等)の議論も継続していました。
すぐに全法人へ影響が出るわけではありませんが、
グループ企業を持つ法人
海外投資・海外展開を視野に入れる企業
にとっては、「知らない」では済まされないテーマになりつつあります。
2025年3月の税務トピックスを一言でまとめるなら、
「税制改正を、腹落ちさせる月」
でした。
新しい制度を“知る”段階から
それを前提に“どう動くか”を決める段階へ
税理士・実務家としては、
どの改正をクライアントに伝えるか
どの改正は「今は様子見」でよいか
どこから先回りして準備するか
を整理する、非常に重要な1か月だったと言えます。
3月はどうしても目の前の申告・決算対応に追われがちですが、
2025年3月は特に、
税制改正
実務運用の変化
中長期的な制度設計
が重なった月でした。
4月以降を「楽にするか、苦しくするか」は、
この3月の整理次第だったと感じている方も多いのではないでしょうか。