「ひとつぶの水滴」
――やなせたかし
雲の中で、一粒の水滴が生まれた。
その水滴は、地上をめがけて落ちていく。
無数の水滴は集まり、川となり、
やがて海へと流れていった。
そのとき、一粒の水滴はこう思う。
「僕は、何かの役に立ったのだろうか」と。
けれど、
一粒の水滴が欠けていれば、
川も海も生まれない。
もし一粒でも足りなければ、
地球は乾いてしまう。
この詩を読んで、強く感じました。
一人の存在の大きさは、決してはかりきれるものではないということを。
意味がないように見える、
取るに足らないように思える
たった一滴の水。
しかし、その一滴がなければ、
この世界は成立しない。
それは、
私たち一人ひとりの人間にも
そのまま当てはめることができるのではないでしょうか。
目立たなくてもいい。
評価されなくてもいい。
誰かに気づかれなくてもいい。
それでも、
あなたがいるからこそ、世界は乾かずにいられる。
一粒の水滴は、
確かに、この世界を支えているのです。
もし、
「自分なんて」と思ってしまう日があったら、
この詩を思い出そうと思います。
皆様もこの詩から何か感じていただければと思います。