大学入試の英語では英文和訳の問題が多く出ますよね。
英文和訳は英文法と語彙をちゃんと知っているかを証明するためにやっているので、訳文が少々読みにくくても正解になります。
しかし実際の翻訳は英文和訳問題とは違います。
では実際にどんな点で異なるのでしょうか?
安西徹雄の『翻訳英文法』(バベル・プレス, 1996)には英語から日本語に訳す時の注意点を22章に分けて紹介しています。
例えば、「代名詞は切れ」と書いてあります。
英語ではhe, his, himなどそれが誰の動作であるかを一つ一つ明確にします。
しかし日本語では必ずしも必要ないですし、なくても理解できます。なので代名詞を切るのです。
He knows his friends will never dislike him.という英文では、He, his, himと代名詞が3つも出てきます。
これを「彼は彼の友達が彼を嫌いになることはないだろうと知っている」などと訳すと、あまりにも冗長ではないでしょうか。
代名詞を切り、「彼は友達に嫌われないと分かっている」 とすればスッキリします。
このように、英語を日本語に訳す時は、英文法や語彙以上に、日本語として自然な表現になるように考えて訳すことが必要になるのです。