一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • IT 技術者が見る「Switch 2」──7 年の技術進化がもたらす大きな変化

Nintendo Switch が発売されたのは 2017 年。
それから 7 年が経ち、ついに後継機「Switch 2」が登場しました。

一般的には「画質が良くなる」「ロードが速くなる」といった表面的な話題が注目されがちですが、IT 技術者の視点で見ると、Switch 2 の進化は 単なるスペックアップではなく、アーキテクチャそのものが世代交代したことによる“質的変化” だと言えます。

 

GPU:Maxwell → Ampere の飛躍は“8 倍”以上の意味を持つ

初代 Switch の GPU は Maxwell 世代で、
PC 向け GPU に置き換えると GTX750〜 GTX900相当のアーキテクチャです。(著者も昔はGTX950を使っていました)

つまり、2014〜2015 年頃の技術をベースにしており、
現行の Ampere 世代(RTX3000)とはアーキテクチャ上の隔たりが非常に大きいと言えます。

一方、Switch 2 は Ampere 世代へ一気にジャンプしました。

・GPU 性能は約 8 倍(※10倍ともいわれています)

・レイトレーシング対応

・DLSS 対応(AI アップスケーリング)

・Tensor コアによる AI 処理

 

Switch 2 の GPU 性能は「RTX2050 程度」とも言われていますが、
携帯ゲーム機という制約の中で 5 万円台に収めている点は、技術者として素直に評価したいところです。

PC で同等の性能を得ようとすると GPU だけで数万円はかかるため、
SoC に統合してバッテリー駆動で動かす設計は相当な工夫の賜物です。

 

◆CPU:A57 → A78C の進化は“2 倍以上”だが体感差はさらに大きい

初代 Switch の CPU は ARM Cortex-A57(4 コア)。
Switch 2 は ARM Cortex-A78C(8 コア)へと進化しました。

・コア数:4 → 8

・世代差:2014 年 → 2020 年

・性能:2 倍以上の向上

ただし、CPU の進化は単純なコア数やクロックだけでは語れません。

・分岐予測

・キャッシュ構造

・メモリ帯域

・命令セット

・消費電力あたりの性能(効率)

これらが 7 年の間に劇的に改善されているため、“別物”と言っていいほどの性能差が生まれます。

PC の世界でも、7 年前の CPU と現行 CPU では同じコア数でも 2〜3 倍の差があるのは珍しくありません。
Switch 2 の CPU 進化もまさにその構図です。

 

◆体験として分かりやすい進化:マインクラフトの読み込み時間

スペック表では分かりにくい進化も、実際のゲーム体験では明確に現れます。
その代表例が マインクラフトの起動からワールド読み込み完了までの時間 です。

・初代 Switch:3〜5 分かかることもあった(海外の報告では10分というのも)

・Switch 2:およそ 30 秒程度で読み込み完了

この差は、CPU だけでなく複数の要素が同時に効いています。

・CPU のシングルスレッド性能向上

・メモリ帯域の強化(LPDDR5)

・内部ストレージの高速化

・GPU の初期描画性能向上

つまり、Switch 2 の高速化は「どこか一つが速くなった」のではなく、
システム全体の底上げによる総合力の勝利ではないでしょうか。

 

◆スマホの進化を思い出すと、Switch の世代差が直感的に理解できる

初代 Switch が発売された 2017 年頃のスマホを振り返ると、

・iPhone X

・Galaxy S8 / Note8

・Xperia XZ Premium

・HUAWEI Mate 10 Pro

といった機種が主流でした。

これらと 2025 年のスマホを比べると、
CPU・GPU・AI 処理・省電力性など、あらゆる面で大きな差があります。

Switch 2 の進化もまさにこの“スマホの 7 年分の進化”と同じ構造で、
アーキテクチャの世代交代がもたらす圧倒的な差がそのままゲーム体験に反映されています。

 

◆IT 技術者として注目したいポイント

● 1. DLSS による“性能の使い方”の変化

生の GPU 性能だけでなく、AI アップスケーリングを活用することで
実効的な描画性能をさらに底上げできます。

● 2. SoC の熱設計(TDP)が鍵

Ampere 世代を携帯機で動かすには、熱・電力管理が極めて重要です。
任天堂と NVIDIA の共同設計の妙が光る部分です。実現のための技術的交流も、かなり高度なやり取りがされているのかなと想像しています。

● 3. メモリ帯域の強化がゲーム体験を左右する

LPDDR5 の採用は、ロード時間や描画性能に直結します。

 

◆まとめ:Switch 2 は“スペックの進化”ではなく“世代の進化”

Switch 2 の進化は、単なる性能アップではありません。
GPU・CPU ともに アーキテクチャが 2〜3 世代飛んでいるため、
ゲーム体験の質が根本から変わる可能性があります。

・レイトレ対応

・DLSS による高解像度化

・CPU の大幅強化

・メモリ帯域の向上

・システム全体の高速化(マイクラの読み込み時間が象徴的)

これらが組み合わさることで、Switch 2 は携帯ゲーム機の可能性を大きく進化させたと言えるでしょう。

(但し、重量は増加しているので、持ったままゲームをするにはかなり重いという欠点はありますが・・・)

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