今回は、WSL2でRHEL環境を構築する方法を紹介します。
Windows上でLinux環境を手軽に使えるWSL2と、エンタープライズ向けLinuxであるRHELを組み合わせることで、本番環境に近い開発環境を構築できます。
■ WSL2とは
WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)は、Windows上でLinux環境を動かすための機能です。
【特徴】
・Windows上でネイティブに近いパフォーマンスでLinuxを実行
・完全なLinuxカーネルを使用
・DockerやPodmanなどのコンテナ技術も利用可能
・Windowsファイルシステムとの統合
・VS Codeなどの開発ツールとシームレスに連携
従来の仮想マシンと比べて、起動が速く、リソース消費も少ないのが特徴です。
■ なぜRHELを選ぶのか
WSL2では、Ubuntu、Debian、Fedoraなど様々なLinuxディストリビューションが使えますが、RHELを選ぶ理由としては以下のようなところかなと思います。
・本番環境で広く使われているエンタープライズLinux
・安定性とセキュリティに優れている
・Red Hat Developer Subscription(無料)で開発目的で使用できる
・商用環境と同じディストリビューションで開発・検証が可能
・WSL用の公式イメージが提供されている
本番環境がRHELの場合、開発環境もRHELにすることで環境差異によるトラブルを減らせます。
■ 前提条件
【Windowsの要件】
・Windows 11、またはWindows 10 バージョン2004以降(ビルド19041以降)
・64ビット版のWindows
・WSL2が有効化されていること
【その他の要件】
・Red Hatアカウント(無料で作成可能)
・Red Hat Developer Subscription for Individuals(無料)
※ WSL2の有効化手順については、ネット上に多くの情報があるため本記事では省略します。
■ Red Hat Developer Subscriptionの登録
RHELを無料で使用するには、Red Hat Developer Subscriptionへの登録が必要です。
【登録手順】
1. Red Hat Developer(https://developers.redhat.com/)にアクセス
2. 「Join Red Hat Developer」から無料アカウントを作成
3. アカウント作成後、自動的に「Red Hat Developer Subscription for Individuals」が有効化されます(※有効化されているかはSubscriptionsページで確認できます)
このサブスクリプションにより、開発目的でRHELを無料で使用できます。
■ RHEL for WSLイメージの取得
Red HatはWSL専用の公式イメージ「RHEL for Windows Subsystem Linux (WSL)」を提供しています。
【取得手順】
1. Red Hat DeveloperのProductsページからダウンロードページ(https://developers.redhat.com/products/rhel)に移動
2. 「Red Hat Enterprise Linux ISO and images」項目の「RHEL for Windows Subsystem Linux (WSL)」をダウンロード
※ ファイル名は「rhel-10.x-x86_64.tar.gz」のような形式です
ダウンロードしたファイルを、任意のフォルダ(例:C:\wsl\images\)に保存してください。
■ WSLへのインポート
ダウンロードしたRHEL for WSLイメージをWSLにインポートします。
【インポートコマンド】
PowerShellまたはコマンドプロンプトで実行:
wsl –import rhel-10 C:\wsl\rhel10 C:\wsl\images\rhel-10.x-x86_64.tar.gz
コマンドの説明:
・rhel-10: WSL上での登録名(任意の名前)
・C:\wsl\rhel10: RHELのファイルシステムを保存する場所(任意のパス)
・C:\wsl\images\rhel-10.x-x86_64.tar.gz: ダウンロードしたイメージのパス
【インポートの確認】
wsl –list –verbose
出力例:
NAME STATE VERSION
* rhel-10 Stopped 2
rhel-10が表示され、VERSIONが2になっていれば、インポート成功です。
■ RHELの起動と初期設定
【1. RHELを起動】
wsl -d rhel-10
※VSCodeで「Connect to WSL using Distro…」から選択しても起動できます
初回起動時はrootユーザーでログインされます。
【2. サブスクリプション登録】
RHELでパッケージ管理(dnf)を使用するには、サブスクリプション登録が必要です。
# サブスクリプション登録
subscription-manager register
対話形式でユーザ名とパスワード(Red Hat Developerアカウントのログイン情報)を入力します。
登録が成功すると、dnfコマンドでパッケージのインストールや更新ができるようになります。
【3. パッケージの更新】
# パッケージリストの更新とシステム全体のアップグレード
dnf update -y
初回は時間がかかる場合がありますが、完了するまで待ちましょう。
■ まとめ
・WSL2を使うことで、Windows上で本格的なLinux環境を構築できる
・RHELは無料のDeveloper Subscriptionで開発目的に使用可能
・Red Hat公式の「RHEL for Windows Subsystem Linux (WSL)」イメージを使うことで簡単にセットアップできる
・サブスクリプション登録により、dnfでパッケージ管理が可能
・WindowsとLinuxのファイルシステムをシームレスに連携できる
今回はここまで。