2027年4月より日本でもIFRS16のコンバージョンである新リース会計基準が適用される。
適用に向けては多くの検討論点が存在する。
- そもそも何が変わるのか
- 従来は借手リース取引において、解約不能(ノンキャンセラブル)とフルペイアウトの2要件を満たす場合はファイナンスリース、満たさない場合はオペレーティングリースと区分してリース会計処理を行っていた
- 新リース会計基準においては実質的に上記の区分がなくなり、契約実態を基にリース判定を行い、原則としてファイナンスリースとしてBS計上することが求められるようになった。
- 会計上の大きな違いとして、オペレーティングリースの場合、資産の貸し借りを行っているがBS計上する必要はなく、毎期のリース料をPL計上するだけで済む。一方でIFRS16ではリース契約と判断された場合はBSへオンバランスする必要があったため、IFRSと比較してROAが良く見える等の批判があった。日本でも新リース会計基準を適用することでIFRSと同様のモデルとなり、同一の会計基準による財務諸表比較が可能となった。
- なお、なぜIFRSにおいてリース会計でオンバランスを求めるかと言うと、
- 使用権資産:借手資産を支配し、資産を活用することで経済的に便益を得ているためBS計上して経済実態を示す必要がある(使用する権利 = 使用権資産)
- リース負債:将来的に継続して支払いを行う責務がある。借入金と同等の性質を持っているため、BS計上して負債としての経済実態を示す必要がある
- 貸手リースにおいては旧来の処理と大きな違いはない。
- 借手リース取引の処理方法
- 以下に該当する契約実態が存在する場合、リース契約に該当する
- 資産が特定されているか?
- 使用を支配する権利が移転し、ほとんとすべての経済的便益を得ているか?
- その資産を指図する権利があるか?
- リース判定された場合、リース期間で支払うリース料を現在価値割引し、以下の仕訳を計上する
使用権資産 / リース負債
- 毎期のリース料支払い時、リース負債を取り崩す仕訳を計上する
リース負債 / 現預金等
支払利息
- 毎期の決算時、使用権資産を減価償却する。定額法で償却するが、償却期間は所有権移転FLの場合は耐用年数で償却、所有権移転外FLの場合、リース期間で償却する
使用権資産償却費 / 使用権資産償却累計額
- 借手リースの検討留意点
- 使用権資産は通常の固定資産と同等の管理が必要
- 税務上はOLと判定されるケース等を考慮して税務データも別途計算・管理する必要がある
- 減価償却や減損処理も必要なため、特に外貨建て取引がある場合は換算処理後データを償却するシステム上で保持する必要がある
- 別表16対応も必要
- 増減金額の開示が必要なため、固定資産台帳での管理も求められる
- リース負債も税務対応として別表4,5の集計が求められる
- リース負債は借入金と同等の勘定科目であり、長短振替と流固区分が必要
- 使用権資産、リース負債双方での管理が必要であり、リース管理を行うことが可能なシステム対応が必要
- 貸手リース取引の処理方法
- 貸手リース取引自体は旧来の処理と変わらないため、大きな論点はない
- ただし、詳細なポイントとして以下のような考慮が必要
- 所有権移転FLの場合はリース債権、所有権移転外FLの場合はリース投資資産の計上が必要
- リース債権はその全額が回収見込みのある金銭債権のため、その全額が貸倒引当金や期末外貨評価の対象となる
- リース投資資産はその金額が利息相当と見積残存価額部分に分けられる。貸倒引当金や期末外貨評価は利息相当部分でのみ対象となるため、会計処理上の注意が必要。特にこれら処理を会計システムで行っている場合、勘定を分ける等の考慮が必要
- リース債権、リース投資資産は、リースしている資産が営業目的である場合は正常営業循環基準によりすべて流動資産扱いになる可能性がある。従い、長短振替は不要な場合もある
一つ一つの検討ポイントを正確に理解し、慎重な検討が必要と感じる。上記が検討の一助となるよう解説を残す
The following two tabs change content below.