一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 自治体・公的機関における生成AI利活用ガイドラインの策定状況

自治体・公的機関における生成AI利活用ガイドラインの策定状況

2023年8月現在、対話型AI「ChatGPT」をはじめとする生成AIの急速な普及を受け、国内の自治体および公的機関では、業務効率化とリスク管理を両立させるための「利活用ガイドライン」の策定が相次いだ。2023年8月には、東京都が全局を対象とした「文章生成AI利活用ガイドライン」の運用を本格的に開始し、その他の地方自治体においても同様の指針が公表された時期である。
これらのガイドラインにおける共通の構成要素を確認すると、第一に「機密情報および個人情報の入力禁止」が徹底されている。2023年8月時点の技術的制約として、入力データがAIの学習に利用されるリスクを考慮し、非公開情報や特定の個人を識別できる情報の入力を一律に制限する規定が標準化された。第二に「生成物の正確性確認(ファクトチェック)」の義務化である。AIによる誤情報の出力(ハルシネーション)を前提とし、最終的な内容の正確性については職員が責任を持って確認する「Human-in-the-Loop」の考え方が明文化された。
第三に「権利侵害への配慮」である。生成物が第三者の著作権を侵害しないよう、既存の著作物との類似性を確認するプロセスの必要性が示された。統計的な傾向として、2023年8月時点でガイドラインを策定済みの自治体では、主に「文章の要約」「誤字脱字の校正」「新規事業のアイデア出し」といった限定的な用途での試行導入が主流となっている。
これらのガイドラインの整備状況は、2023年8月当時において、生成AIが単なる試験的ツールから、公務実務における「補助的な情報処理インフラ」へと移行する過程で、法的・倫理的な防壁を構築しようとする行政側の客観的な姿勢を示す指標となっている。

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