一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • ITエンジニア・クリエイターの週当たり平均稼働時間の統計的推移

ITエンジニア・クリエイターの週当たり平均稼働時間の統計的推移

総務省および厚生労働省の「就業構造基本調査」の経年変化、および2024年3月に公表された最新の民間実態調査を参照すると、国内のITエンジニアおよびクリエイティブ職種に従事するフリーランスの稼働時間は、二極化の傾向を示しつつも、全体としては「週35時間から60時間未満」の層が過半数を占める安定した推移を見せている。
統計上の階層別構成比を確認すると、週の稼働時間が「35時間未満」と回答した層は約30%前後に達している。これは、育児や介護との両立、あるいは複数の副業を組み合わせる「ポートフォリオ・ワーカー」の増加が背景にあると分析される。一方で、標準的なフルタイム勤務に相当する「週35時間から60時間未満」の層は約60%を占め、長年にわたりメインボリュームを形成している。特筆すべきは、かつての長時間労働の象徴であった「週60時間以上」の過重労働層であり、2024年時点の調査では約10%以下にまで低下している。これは、クライアント企業におけるコンプライアンス意識の高まりや、2024年4月から適用された建設・物流・医療業界等の時間外労働上限規制に伴う、社会全体の労働時間短縮傾向が波及した結果と推察される。
職種別の詳細では、ITエンジニアはプロジェクトの納期直前に稼働が集中する「波」がある一方、クリエイター職種(デザイン・ライティング等)は短時間の案件を複数並行させる形態が多く、週当たりの総稼働時間はITエンジニアよりも分散傾向にある。
これらの統計データは、2024年9月現在において、フリーランスの働き方が「長時間労働による高収益型」から、効率的な時間配分を重視する「自律的な時間管理型」へと構造的に変化している事実を客観的に示す指標となっている。

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