石灰沈着性腱炎は腱のまわりに石灰がたまって痛みが生じる病気です。
腱は筋肉の先の方が筋(すじ)状に硬くなった部分で、筋肉の動きを腕や足に伝えるはたらきをしています。身体の中のいろいろなところにありますが、特に関節の近くや手足に多く存在しています。この腱のまわりに石灰成分が溜まり腫れたり熱を持ったりして強く痛むことがあります。炎症の一種と考えられていますが、なぜ石灰がたまるような炎症が起こるのかについては、十分には分かっていません。
特に肩関節の「腱板」という部分に起こることが多く、その場合は「石灰沈着性腱板炎」と呼ばれます。
特にはっきりした原因がなく、急激に強い痛みが出現し、発症した部分の関節を動かすことが困難になります。石灰がたまった部分は腫れて熱を持つことが多く、触れたり押したりすると痛みを感じます。じっとしているとき(安静時)よりも、動かしたとき(運動時)の方が強く痛みます。
肩に発症すると、腕を動かすことができなくなります。40~50代の女性の肩関節に多く発症するのが特徴です。
石灰沈着性腱炎の症状」で述べたような典型的な発症の仕方に加え、局所の強い圧痛(押すと痛みを感じる)と運動時痛(動かすと痛む)があるときは、石灰沈着性腱炎を疑います。
X線検査で骨の脇に本来はないはずの白い影がみられると、石灰の沈着があると診断されます。しかし、小さな石灰はX線検査では骨と重なって判定できないこともあります。
石灰沈着の部位を詳しく見る場合はCT検査を行ないます。超音波検査やMRI検査でも分かることがあります。
消炎鎮痛薬(痛み止めの薬)を使用することで、多くは1~2週間程度の経過で症状が軽快します。しかし、石灰沈着性腱炎による痛みは強く、早期に改善を希望する場合は局所への注射を行なうことがあります。
発症して間もない時期は石灰がクリーム状で柔らかいので、石灰の部分に針を刺して吸い取ることができます。このときに全部を吸い取る必要はなく、一部分を吸引するだけでも痛みは楽になります。痛みが落ち着いて関節の動きが回復すれば、石灰が残ってもそのまま経過をみます。
時間が経つと石灰は硬くなってしまいます。そのようなときは、太めの針を刺して石灰の塊を砕いたり、手術で摘出したりすることもあります。最近は、専門の器具を使って衝撃波を患部に照射する「体外衝撃波治療」が行なわれることもあります。関節の拘縮(こうしゅく=関節が動かなくなること)が残るようなときは、リハビリテーションを行ないます。