iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度改正において、特に「改悪」と指摘されるポイントは、主に受取時の税制優遇(退職所得控除)の制限強化に集約されます。
2024年から2026年にかけての主な変更点を整理しました。
1. 退職所得控除の「10年ルール」への延長(2026年1月〜)
これが最大の「改悪」とされる点です。iDeCoを一時金として受け取る際、会社からの退職金と重複して控除を受けるための条件が厳しくなります。
* 改正内容: iDeCoを先に受け取り、その後に会社の退職金を受け取る場合、これまでは5年空ければそれぞれの控除枠をフル活用できましたが、改正後は10年空ける必要があります。
* 影響: 例えば60歳でiDeCoを受け取った場合、会社の退職金で控除を全額受けるには70歳まで待たなければなりません。65歳定年で退職金をもらうスケジュールだと、控除額が削られ、所得税・住民税の負担が増える可能性が高まります。
2. 拠出限度額の計算ルールの複雑化(2024年12月〜)
利便性が向上した反面、人によっては実質的な制限となるケースがあります。
* 他制度との合算管理: 企業年金(DBなど)に加入している会社員や公務員の限度額が2万円に引き上げられましたが、同時に「企業型DC」や「DB」の掛け金相当額との合計で月額5.5万円(2026年12月からは6.2万円へ段階的引き上げ)という枠が厳格化されました。
* 拠出不能のリスク: 勤務先の企業年金の手厚さによっては、iDeCoの最低拠出額(月5,000円)を下回ってしまい、新規の掛け金拠出ができなくなるケースが発生します。
3. その他の注意点
* 資金拘束の継続: 原則60歳まで引き出せないという最大のデメリットは変わりません。改正で拠出上限が増える分、無理に拠出額を上げると、教育資金や住宅ローンなど直近のライフイベントで資金不足に陥るリスクが高まります。
* 受取時の手数料: 年金形式で分割受取を選択する場合、振り込みのたびに給付事務手数料(440円程度)が発生し続けるため、受け取り方次第では運用益を圧迫します。
まとめ
今回の改正は「入り口(拠出)」は拡大されましたが、「出口(受取)」の税金チェックが厳しくなったのが特徴です。特に**「iDeCoを先に一時金で、定年時に退職金を」**と考えていた方は、受取時期のシミュレーションをやり直す必要があります。