代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインの価格が2017年に記録した過去最高値に迫りつつあります。ビットコインへポジティブな評価を下している方々は、今回の上昇局面は、熱狂した個人投資家が減り、機関投資家をはじめとするプロの投資家による投資が増加しているため、かつてのような暴落が起きる公算は乏しいと考えています。一方で、ビットコインに対してネガティブな評価を下している方々は、現段階で決済手段として殆ど使われておらず、金融市場全般に対する世界的な不透明感も広がっているため、ビットコインは安全な投資対象とは言えないと考えています。ビットコインの今後はどうなるのでしょうか。
私はビットコインに対しては非常にポジティブに評価しています。その根拠は以下の通りです。
(1)決済手段としての機能強化
PayPalのCEOであるDan Schulmanは、暗号資産ビットコインの実用性はこれからますます高まるとの見解を示しています。また、PayPalも仮想通貨サービス開始に向けて取り組むとしています。具体的には、2021年初めてにPayPalの2800万の加盟店全てで行われる決済の資金源として仮想通貨を使えるようにする予定とのことです。こうしたサービス開始に伴う、PayPalのビットコイン購入も大きな話題となっています。仮想通貨投資ファンドPantera Capitaの分析によると、取引高増加から推定した場合は、PayPalは既にビットコイン新規採掘量の70%を購入していると見積もれるとのことです。また、今後の購入量増加により、PayPalが数週間以内に単独で新規採掘量以上を購入するとも指摘されています。
(2)機関投資家の参入
仮想通貨保険会社のEvertasは、資産の合計にして約784億ドルほどに相当する機関投資家を対象に「今後、暗号資産への投資を増やすか」というアンケート調査を行いました。その結果、回答者の26%は今後5年間で、暗号資産への投資を劇的に増やすことを計画しているとしました。また、合計で90%の回答者が今後5年間で仮想通貨の保有量は増加することを予想しているとしたようです。機関投資家の参入については、64%が年金基金や保険会社、政府系ファンドなどによる投資が増加すると考えているようです。
(3)法定通貨の信用低下
今般の新型コロナウイルス感染拡大に伴い各国積極的な財政出動を行い、また大規模な金融緩和策を講じています。世界中の債務の合計額は過去最高を突破しましたが、新型コロナへの対応にあたり、当面は財政出動・金融緩和に歯止めがかかる気配はありません。どこまでこうした状況が続くかは分かりませんが、どこかのタイミングでクラッシュが発生してもおかしくない状況となっています。そのための価値保全手段としてデジタルゴールドと呼ばれている暗号資産の価値が高騰することが予想されます。
上記のような根拠から私はビットコインに非常に強気の予想をしています。現在、1ビットコインの価格が2万ドル目前となり、過去最高値を更新するのではないかと言われていますが、この価格帯を抜ければ、あとは青天井になることも考えられます。米シティバンクは機関投資家向けレポートで、ビットコインは1970年代に高騰した金市場と似ており、2021年12月までに31万8,000ドルまで高騰するという強気の予想を示しています。ここまで高騰するというのは中々難しいとは思いますが、ここから数倍のレベルまでは到達するのではないかと予想しています。新たな展開を見せるビットコインに注目してください。