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バブル崩壊の兆候
2021年12月19日
バブル崩壊の兆候
未分類
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、世界経済、金融市場が崩壊しかけた2020年。しかし各国の大規模な金融緩和(まさに異次元の金融緩和)により、一転して世界各国の様々な資産価格は高騰を続けています。株価も過去最高値を更新し、暗号資産も暴騰を続けてきました。これまで株式投資等を行ったことの無い方、関心を持ったことの無い方まで投資の話をするようになっています。こうした資産価格の高騰は、「資産効果」を通して、多くの方々の可処分所得を増やすことになり、実体経済にもプラスの影響を及ぼすことになります。私の周りでも、「株で儲かったから、高級外車を買ったよ」とか「ビットコインで数千万円儲かって連日パーティーだ」といった類の話を頻繁に聞きます。しかし一方で、原油価格の高騰を筆頭に、小麦や牛肉などの商品価格まで値上がりしており、企業活動や市民生活にまで影響が出始めています。以前、私の記事でも書いた「いきなりステーキ」の値段も大幅値上げされることになり、大きなニュースになりました。
日銀が12月10日に発表した11月の企業物価指数は前年同月比9%上昇し、1980年12月以来約41年ぶりの伸び率と
なりました。これほどの物価高騰は、景気回復だけが原因ではなく、各国の異次元の金融緩和により行き場を失ったマネーが様々な資産に流入していることも大きな原因となっています。まさにバブルの典型例だと思います。実際、最も代表的な資産であるS&P500について、「CAPE
レシオ
(シラーPER、長期的に見て株価が割高かどうかを判断する指標)」は、一般的に25倍を超えたら警戒水準と言われる中、39倍というとんでもない数字に達しています。
私も以前「バブル経済」についての研究をしたことがありますが、このバブルというのは誰にも崩壊のタイミングを正確に予測することは不可能です。しかし、各国の中央銀行が過去最高水準の物価上昇をこのまま見過ごすことはありません。日本はデフレに慣れきってしまい、現役世代にとってインフレというのは殆ど経験していないため、ピンと来ないかもしれませんが、これまでの長い歴史の中ではインフレをどのように抑えるかというのが大きな課題でした。既に米FRB(連邦準備制度理事会)はテーパリング(量的緩和縮小)に舵を切り、インフレ退治に乗り出しています。これを受けて、日本を除く世界の中央銀行は政策金利の引き上げを始めています。こうした金融引き締めは、高確率でバブルに終止符を打つことになります。それは歴史が証明しています。いつバブルが崩壊するのか、私は転換点は間も無くではないかと考えています。
いつ崩壊してもおかしくないバブルに対して、私たちは準備をしなければいけません。様々なリスク資産をポートフォリオから順次外していくことも検討するべきだと思います。潤沢な現金を抱えて、来るバブル崩壊を待つべきだと思います。勿論、現在進行中のバブルがいつ崩壊し始めるのか、どの程度の崩壊となるのかは神のみぞ知るところです。そんなことを予測することなど誰にもできません。今しばし上昇することも十分あり得ると思います。ただ、株価の上昇期待も、現在の水準からはせいぜい10%ぐらいだと思います。一方、バブル崩壊ともなれば、あっという間に数十%のレベルで暴落することが予想されます。多くの投資家が一斉に逃げようとしているので、流動性の低い資産などは売ろうにも売れない状況に陥ることになります。今の資産価格が嘘だったかのような状況になるでしょう。さらに比較的安全とされている債券についても決して楽観視できません。ゼロ金利ないしマイナス金利となっている世界の債券市場において、ここからの高値というのは望めません。いざバブル崩壊ともなれば総売りとなることが考えられます。債権価格の下落は利回り(長期金利)の急上昇を引き起こします。そうなると収拾のつかないような株価・金融商品全般の下落を招く悪循環となります。
今後はそうした崩壊がいつ起こってもおかしくない金融市場ですが、現金化しておくことでバブル崩壊のショックを軽減することができます。また投資の鉄則は「人よりも安く買って高く売る」ことなので、バブル崩壊によって人よりも安く、多くの資産を購入することができます。まさにバーゲンハンティングの大チャンスがやってきます。現在、私はバブル色の高い銘柄を順次売却し、これまでのバブル高とは無縁だったようなバリュー株へシフトしています。バブル相場の渦中でもあまり騒がれなかった企業については、バブル崩壊後の売り圧力は限定的であるため、こうした銘柄は暴落相場でも生き残った投資マネーの買いが集まる展開となります。「バブル崩壊があった場合の準備をし、現金の持分を多くするべきである。」これが今回の私からのメッセージです。
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投資銀行にてM&Aアドバイザリー業務、PE(プライベート・エクイティ)業務に従事していました。 経済、投資等についてのアドバイスを行っています。
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