一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • ビットコインバブル崩壊か・・・。
2022年が始まってからビットコインやイーサリアムなど各種暗号資産の暴落が止まりません。ビットコインは年明け早々550万円ほどあった価格が、3週間余りで300万円台に突入しました。イーサリアムは45万円ほどの価格が26万円まで暴落、それ以外の暗号資産もそれ以上の下落となっています。たった3週間で40%前後の下落です。ボラティリティの大きい資産ではありますが、それでもここまでの大幅な暴落というのは非常に興奮するものです。
こうした暴落に直面し、暗号資産懐疑派・弱気派が一斉に「暗号資産バブル崩壊」を叫び始めました。以下、彼らの主な主張です。
(1)これまでの上昇が急激であったが故にパニック的暴落が起こる。
これまでの暗号資産の上昇が急激だった。バブル崩壊の最後は急激に上昇して破裂するのが一般的な形である。最終局面では買いが買いを呼ぶ。買っていない投資家は乗り遅れるな、と言わんばかりにどんどん買っていくために、資産価格は急激な上昇カーブを描くことになる。そうなると以前から保有している人はこれだけ上がってきたからそろそろ売っておこうと思い、一方、直近で買った人は相当な高値で買っているため、少しの暴落でもパニックになる。つまりは、これまで保有し続けてきた投資家が売り、それに触発される形で、直近で買った人も売り、売りが売りを呼ぶ展開になる。
(2)各国中央銀行による金融引き締めによりリスク資産価格が暴落する。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年2月・3月にリスク資産が大幅に下落しました。世界経済の悪化が叫ばれる中、FRBや欧州中央銀行など各国の中央銀行は大規模な金融緩和を実施することで対応してきました。現在はそうした金融緩和の副作用が出始めており、コロナバブルと言われるような状況を作り出してしまっています。例えば、アメリカの消費者物価指数は昨年12月、前年同月比7.0%上昇と1982年以来約40年ぶりの高水準に跳ね上がっており、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融引き締めに向けた地ならしを本格化しています。FRBは、国債など資産購入を通じた量的金融緩和策を3月半ばに終了する。またFRBのブレイナード理事が「資産購入を終えれば、直ちに利上げできる」と語るなど、FRB高官は既に量的緩和終了とほぼ同時に事実上のゼロ金利政策を解除する意向を示しています。FRBが今月25日、26日両日開催する連邦公開市場委員会(FOMC)では、3月15、16日の次回会合でのゼロ金利解除が確認されると予想されています。パウエル議長が、FOMC後の会見で、ゼロ金利解除後の利上げペースや、量的緩和で膨張した総資産の圧縮など、一段の金融引き締めに関して、どのように発言するのかも注目されています。パウエル議長は11日の上院銀行委員会で、想定以上に高インフレが長引くことになれば、「より多くの利上げを行う必要がある」と発言しました。市場では、FRBが2022年内に4回利上げするとの観測も浮上しています。約9兆ドル(約1000兆円)に膨張した総資産の縮小についても議論される見通しです。足元ではオミクロン株が猛威を奮っており、供給制約や人手不足の問題が深刻化しており、サプライサイドの問題によるインフレ懸念が高まっています。そうした中、過度な金融の引き締めは景気回復に水を差しかねず、それが様々なリスク資産の価格暴落・バブル崩壊
を引き起こしかねないような状況となっています。年明け早々の暗号資産の暴落はこうした金融引き締めを先取りした暴落とも考えることができます。
(3)各国政府による規制が強化される結果、暗号資産価格が下落する。
中国を筆頭に暗号資産への規制強化が進んでいます。直近の動向として注視すべきなのはロシアの動向でしょう。先日、ロシアの中央銀行が、「暗号資産は金融安定性、国民福利厚生及び金融政策の主権を脅かすものであり、ロシア領内での暗号資産の使用やマイニングを禁止すべきである」との提言をしました。ロシアは暗号資産がマネーロンダリングやテロ資金調達に利用される可能性があるとして、長年にわたり反対論を唱えてきていました。最終的には2020年に暗号資産に法的な地位が付与されましたが、支払い手段としての利用は禁止していました。1月20日に発表された中央銀行の報告書の中で、中央銀行は暗号資産の急成長を主に投機的な需要が決定づけ、金融の無限連鎖講の特徴を持つとし、市場にバブルの可能性を警告し、金融安定性と市民を脅かすと説明しています。またその報告書では「金融機関が暗号資産を使った業務を一切行えないようにすることを提案し、暗号資産を法定通貨で売買することを目的とした取引を阻止する仕組みを構築すべきだ」も記載しています。これまで金融政策は各国の為政者の強い権限であり、ある意味で各国の既得権でした。暗号資産はそうした既得権益を犯すものであるため、当然各国政府からは強い反発を受けることが想定されます。私は暗号資産が世界中のより多くの人に広がっていくことは不可逆的なものであると考えていますが、各国政府のより一層の反発も想定される中、規制の内容次第では暗号資産の暴落も想定しなければいけないのかもしれません。
このような理由から暗号資産はもう終わったのか。そう考える人もいるかもしれません。しかし過去の動きを振り返ってみると、暗号資産は毎年のように高値から50%以上の下落が起こり、その後強烈な反発が起こっているのです。勿論、過去に起こった動きが今年も起こるという蓋然性はありませんが、今回50%以上の暴落が発生していますが、決して悲観的になる必要はないと思います。今後、各国で銀行等でも暗号資産が購入できるようになることや、法定通貨として採用する国が今後増加すること、機関投資家の投資が本格化することなどを考えると、むしろ本当の成長はこれからだと考えています。私は今回の暴落を好機だと考え、少しずつ投資額を増やしていこうと思います。
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東葛 コンサルティング

投資銀行にてM&Aアドバイザリー業務、PE(プライベート・エクイティ)業務に従事していました。 経済、投資等についてのアドバイスを行っています。

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