メタバースはインターネットの進化形であり、アバターを介して人々が交流したり、
仕事をしたり、遊んだりできるオンライン空間だと言われている。
これは共通された空間であり、いつでも好きなときに利用できる。
Zoomのように、用が終わったら消えることもない。
メタバースという言葉が指すものは非常に広く、マルチプレイ可能なゲームが生み出す
2Dのデジタルワールドをメタバースと呼ぶ人もいる。
Metaの最高経営責任者(CEO)Mark Zuckerberg氏やMicrosoftのCEO、Satya Nadella氏を
はじめとする推進派は、VRヘッドセットやモバイル機器、PC、クラウドに接続されたサーバーといった
既存の技術を組み合わせることで、より深く没入感のある体験を生み出そうとしている。
こうした未来主義者たちが構築しようとしているのは、ヘッドセットやARグラスを装着して
アクセスする3Dの仮想世界だ。
VRやARを介さなければメタバースにアクセスできないわけではないが、両者が密接な関係にあることは間違いない。
未来のヘッドセットはさまざまな機器やサービスとの互換性を持つことになるだろう。
2022年はMeta、ソニー、Appleなどから、VRや複合現実(MR)のヘッドセットが続々登場するとみられている。
各社のプロジェクトに共通しているのは、現実世界と似た仮想世界を作ろうとしていること。
デジタル化された町、公園、クラブなどが1つの仮想世界に、または多くの仮想世界に出現する。
メタバースを物理的な世界と重なって表示されるもの、ARオーバーレイを含むものだと捉える人もいる。
投資家たちはすでに大金を投じて仮想世界の土地を買いあさっている。
カリブ海の島国、バルバドスがメタバースに大使館を設置する計画を発表したことも、
メタバースの可能性を浮き彫りにした。
今のところ、メタバースには標準規格がないため、多くの企業が他社よりも早く、未来の
標準となるような土台を作ろうと競い合っている。
各社のVRヘッドセットが、他社の展開するマルチプレイ型の広大なワールドやクラウドベースの
グラフィックと互換性を持つことになるかは分からない。
ほとんどの企業は、他社もアクセスできるメタバースを作ると約束しているが、具体的な連携の
方法についてはこれから合意を形成する必要がある。
膨大な金額をメタバースプロジェクトに投じようとしているMetaは、相互運用性が不可欠だとしている。
つまり、Facebookで作ったアバターはMicrosoftのプラットフォームでも使えなければならない。
1つの大きなメタバースが存在し、その上でさまざまな企業がサービスを展開するというビジョンは、
インターネット黎明期のユートピア的な理想を彷彿とさせる。
しかし、当時のインターネットの開拓者たちはそろばんをはじき、投資に見合う利益が得られないと悟ると、
この賭けから手を引いた。
同じことがメタバースでも起きる可能性はある。
Zuckerberg氏らが正しいとすれば、プラットフォームを超えた移動や持ち運びを実現するためには
莫大な投資が必要になる。
メタバースは恐らくメタバースを名乗る複数のプラットフォームの集合体として始まるだろう。
インスタントメッセージングが生まれたころは、いくつものサービスが乱立し、それぞれで運営されていたと思う。
それと同じような状況だ。
時がたつにつれて標準規格が生まれ、大手企業が互換性のある技術を使うようになり、Eメールの
プロトコル的なものが生まれる。
大まかに言えば、これが現在のインターネットの姿であり、合意されたプロトコルと独自の基準が対立し、
無数の企業がコンテンツを生み出し、競合するソフトウェアエコシステムが共存している。