一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 日本もいよいよインフレ局面へ
現在、世界中で急激なインフレが懸念されています。日本でも原材料やエネルギー価格の上昇が大きな原因となり、様々な物の価格が値上がりしています。例えば、安い日本の象徴の一つであった牛丼ですが、大手牛丼チェーン3社が2021年に相次いで値上げを発表しました。松屋は320円→380円(9月)、吉野家は387円→426円(10月)、すき家は350円→400円(12月)となりました。値上げの対象は牛丼だけでなく、パンやスナック菓子、ハム、ソーセージなど様々な商品に及んでいます。
デフレ経済が長く続いたことで、日本の消費者は値上げにシビアになっています。最も分かりやすい例が焼き鳥チェーンの鳥貴族の値上げとその後の業績急落です。2017年10月に全品280円(税別)を298円(税別)に値上げしたところ、既存店売上高は2018年1月から22ヶ月間連続の前年割れとなりました。また2019年7月期の決算では2014年の上場以来初の最終赤字に沈み、それ以降直近の2021年7月期まで3期連続の最終赤字となっています。それほど日本では値上げに対しての極度のアレルギー反応が存在する中で、各社が一斉に値上げに踏み切らざるを得ないほど、インフレ圧力が働いているというのが現状です。インフレを目指し続けてきた日本ですが、今回のインフレは悪性インフレと言わざるを得ません。前述の通り、今直面しているインフレはコストプッシュ型のインフレであり、生産性向上や旺盛な需要に伴うインフレではないからです。そのため給料は変わらず、実質賃金はマイナス、つまり日本人の家計はどんどん苦しくなっていくのです。
中長期的にも強いインフレ圧力が続くことが予想されます。その一つ目の要因は中国やインドなどの人口増加と経済成長です。世界1位、2位の人口を誇る中国とインドは、現在人口ボーナス期に入っています。経済も急成長している両国で人口が急増することは、当然にインフラ投資も急増し、衣食住など生活に関する消費も急増することが予想されます。原材料やエネルギーへの需要は増加し、それと共に世界における様々な価格は引き上げられることになります。二つ目の要因は金融要因によるものです。感覚が麻痺してきていますが、現在国債バブルと言っても良い状態が長い間続いています。異次元の量的緩和を継続しているにもかかわらず、物価は上昇せず、それ故長短金利をゼロ近傍に貼り付け続けています。長短金利がゼロであるが故に政府は大盤振る舞いの財政出動を行なっており、公的債務は膨らみ続けています。このような奇妙な均衡状態はいつまで続くのでしょうか。1年、5年、10年、20年後にバランスが崩れるのか、それとも半永久的にこうした均衡状態は続くのか。こればかりは誰にも分かりません。ただ債務残高はどこかで臨界点に達して長短金利が上昇を始めるケースも、常に想定しておく必要はあります。長短金利が上昇することにより、旺盛なマネタリーベースへの需要は急低下し、同時に国債バブルも崩壊し、物価水準の急騰が始まります。
こうした悪性インフレの先に何が起こるのでしょうか。量的緩和を続けなければあっという間にデフレスパイラルに戻ってしまう一方で、悪性インフレにも直面している日本。非常に難しい舵取りとなっているのは間違いありません。そのような難しい状況の中で、私たち一人一人にできることは限られています。自分自身の資産を守るためには、日本国内の資産を世界に分散するのは最低限必要だと思います。特に今、世界中の資産が暴落している時がチャンスです。ボーダレス投資へのシフトをより一層進めることはおすすめします。ボーダレス投資の鉄則は長期的な目線と投資の分散です。私たちは機関投資家とは違い、一定期間内で収益を求められることはありません。人生100年時代と言われている中、短期的な収益に固執することはありません。コツコツと積立投資を続け、その部分については簡単には解約しない。そうした長期的な目線での投資が重要です。加えて長期投資により複利の効果も最大限活かすことができます。また、分散投資も重要です。いつ、どのようなタイミングで不測の事態が発生するのかは誰にも分かりません。国・通貨・資産等分散を徹底することでリスクを最小限に抑え、リターンを最大化することができるはずです。
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東葛 コンサルティング

投資銀行にてM&Aアドバイザリー業務、PE(プライベート・エクイティ)業務に従事していました。 経済、投資等についてのアドバイスを行っています。

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