今回は、令和6年4月までに義務化されることが決まっている相続登記についてご案内いたします。
これまで、相続登記は義務ではなかったため、所有者の方が亡くなられて数十年経過しても不動産の名義変更がなされないまま放置されるケースが多発し、空き地や空き家となって公共事業もすすまず、景観や治安が悪化したりするなど、さまざまな問題が生じておりました。
平成28年度の調査によると、全国の所有者不明土地の面積は約410万ヘクタールで、これは九州本島の面積を上回るものとなってしまっており、事態を重く見た政府が法制化に動き法改正がなされるに至りました。
改正法は、「相続の開始(=所有者が亡くなった日)」と「所有権を取得したこと」の両方を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付けています。正当な理由なく相続登記の申請を怠りますと、10万円以下の過料が課されることになります。義務化の前に相続した不動産についても、遡って適用されますので、注意が必要です。
遺産分割に時間がかかる事情があれば、義務化と同時に新しく設けられる予定の「相続人申告制度」を利用しましょう。これは、まだ新しい所有者は決まっていないけれども、とりあえず「相続が発生したこと」を法務局に申告して登記しておくという、相続登記の予告信号のような登記です。相続人のうちの一人の方が代表して申告することができます。
相続問題というのは長引くことが多いため、早め早めの準備が肝要です。複雑な事案でお困りの方がおられましたら、司法書士にご相談いただければと思います。