一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • システム開発における見積もりのチェックポイント

お客さま先の情シスの新規メンバーへの教育、自分の再確認のためになると思い、見積もりについて書いてみます。

システム開発の見積もりを受け取る側も提出する側も、経験が少ないうちは「算出方法が分からない」、「どのような
ポイントを見ればいいの?」と疑問が出ます。
そこで、システム開発における見積もりを依頼する際のポイントや算出方法についてまとめてみました。

■システム開発で見積書を出す前に知っておきたいこと
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システム開発には、さまざまな開発方法や作業工程があるため、見積もり項目が多く算出方法もいくつかあるので
内容が複雑になったりします。
また、開発会社によって算出される金額が変わるケースもあります。開発会社によっては、エンジニアの人数やスキル、
下請けの有無などもあり、見積もりの内容も企業ごとに変化します。
ですので、業界の基本的な知識や金額相場を知っておけば、大まかな指標になって見積もりの比較検討がしやすくなり、
見積もりに大きな金額差があれば、根拠や内訳を企業に提示してもらうこともできるようになります。

■見積もりの算出方法
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システム開発の見積もりを算出する方法は、大きく分けて4通りあります。
●類推見積もり(トップダウン)
過去の類似プロジェクトを参考に、具体的な見積もりを算出する方法。
●係数モデル(パラメトリック見積もり) ※個人的にはやったことがない。
特定の数式モデルを使用して、各作業を数値化したうえで見積もりを算出する方法。
●ボトムアップ(工数積上げ)
プロジェクトで完成するシステムとその構成要素を想定し、見積もりを算出する方法。
●プライスツーウィン法 ※個人的にはやったことがない。
クライアントの予算に合わせて見積もりを算出する方法。

以下は、実際にシステム会社へ開発を依頼したい場合に、見積もりの対象となる項目です。
項目や内容を把握しておけば、システム開発を依頼した際に、「どこにどれだけのコストが発生するのか」が
ひと目で分かるようになります。

■見積もりの対象となる項目・内容
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●要件定義費用
要件定義とは、「どんなシステムがほしいのか」、「システム導入によってどんな課題を解決したいのか」という
要望をまとめる作業です。要件定義費用は、システムの方針や大まかな仕様を決定する際に発生します。
●設計費用
サーバーをはじめとするインフラ整備や専門言語の検討など、設計環境を整えるために必要な費用です。
●UIデザイン費用
UIとは「ユーザーインターフェース」の略語で、ユーザーから見たシステム画面(外部デザイン)です。
だれでも見やすく使いやすいデザインにするためには、十分なUIデザイン費を確保する必要があります。
●進行管理費用
進行管理費用とは、その名の通り作業スケジュールの管理や調整に必要な費用です。
プロジェクト管理費やディレクション費と表記されるケースもあります。
●開発費用
開発費用は、開発に携わるエンジニアの技術費や人件費です。
システム開発にかかる費用は、この開発費用(エンジニアの人件費)が大きなウェイトを占めています。
●導入費用
完成したシステムを導入する際は、さまざまな初期設定が必要となります。
この初期設定をするのに必要な費用が、導入費用です。
●導入支援費用
システムをスムーズに利用できるよう、開発会社が操作マニュアルを作成したり操作方法の説明会を
開催したりするケースがあります。そのケースで必要となるのが導入支援費用です。
●購入費用
システムを運用するにあたって、ソフトウェアの購入やサーバーの導入が必要になるケースがあります。
購入費用は、こうした機材を購入するための費用です。
●旅費・交通費用
開発会社との打ち合わせにかかる費用が、旅費・交通費用に該当します。遠方の開発会社に依頼している場合は、
宿泊費などもこちらに計上されます。
●保守費用
保守費用は完成したシステムのメンテナンスやバグの修正、機能の改修などに必要となる費用です。

■見積もりのチェックポイント
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システム開発において、少しでも精度を高くするためのポイントを挙げます。
見積もり時に意識しておきたいチェックポイントは、以下になります。

●作業範囲が明確になっているか
システム開発は、複数のタスクの集合体です。見積もりを出す際は、タスク1つひとつが明確に提示されているかを
確認しましょう。
システム開発には「基本設計から運用・リリースまで」「要件定義から総合テストまで」などさまざまなパターンが
あります。より正確な見積を算出するためには、どこからどこまでが依頼できる範囲なのかをしっかり把握しておく
必要があります。
●作業で発生するリスクが含まれているか
システム開発では、修正や再開発が必要になるシーンも出てきます。こうしたトラブルが重なると工数も増え、
それだけ費用が上乗せされてしまうのです。ある程度の修正費やトラブル対応費が見積もりに含まれているか否かを
確認しておきましょう。
●管理工数が計上されているか
しっかりとした進捗管理や品質管理は、理想のシステムを作り上げるのに不可欠な作業です。
見積もりには、これらの管理工数が計上されているか否かも確認しましょう。
●調査・分析に必要な工数が含まれているか
システムの設計や開発に必要な工数ばかりに配慮をすると、要件定義を作成するのに必要な事前調査や分析に
かかる費用を疎かにしがちです。見積もりを出す際は、調査・分析に必要な工数も考慮してください。
●数字に妥当性があるか
見積もりで算出されたコストや工数に「不自然な箇所がないか」、「適切な数値であるか」という調査は不可欠です。
項目ごとに「なぜその数値になるのか」という視点でチェックをしましょう。
●前提条件は明確になっているか
ここでいう前提条件とは、システムの対象範囲や開発言語のような使用技術になります。
前提条件が明確でないと、見積もりで算出される数値の正確性に影響が出ることもしばしばです。
●必要なハードウェア、ソフトウェア購入金額が含まれているか
システム開発に必要なハードウェアやソフトウェアがある場合は、購入金額を見積もりに含まれているかを
確認しましょう。
●責任範疇は明確になっているのか
どのような契約であっても、責任の所在が曖昧のままだとトラブルの火種となることも珍しくありません。
見積もりの段階で、責任範囲の明確化しておくことを推奨します。
●検収方法・検収条件は明確になっているか
システムが「仕様通りに完成しているか」を判断するには、完成後の検収が不可欠です。
見積もりには、完成したシステムの検収方法や検収条件が含まれているかを確認しましょう。

■開発会社への見積依頼のポイント
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開発会社へ見積もりを依頼する際は、複数の会社から見積もりをとるのが得策です。

できれば3社以上に見積もりを依頼し、検討材料を確保しましょう。複数社の見積もりを比較した時に、1社だけが
極端に安い場合などは注意が必要です。追加費用で結果的にコストがかかることも多いほか、粗悪な品質の成果物が
納品されたりするケースもあります。繰り返しになりますが、システム開発を依頼する際は大まかな費用相場を
把握しておき、見積もりの妥当性をある程度判断できるようにしておくと良いでしょう。

■見積の課題について
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システム開発では、「見積もりを出しても結局想定外のコストがかかってしまった」というトラブルも少なく
ありません。現実的に起こりうるリスクを踏まえた見積もりを出してもらうことが大切です。
このほか、見積もりで失敗しないためのポイントを以下でまとめています。

●前提条件を明確にする
見積もりを出す際は、開発会社側が、どんな制約事項・仕様をもとにして見積もりを行なっているのかを
知っておきましょう。
この事項は「前提条件」と呼ばれ、前提条件のすり合わせが不十分だと齟齬が発生します。
そうならないためにも、前提条件をしっかりと可視化してもらうことが大切です。

●詳細な仕様を事前に話し合っておく
開発がスタートする前に、どのプログラム言語を使うのか、使用ハードウェアやソフトウェアは何にするかなど、
細かい仕様についてすり合わせすることが重要です。仕様のすり合わせを怠ると、後になって「この部分はこう
なると思っていた」という齟齬が発生します。

以上です。

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甲斐 展久

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