一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

「2025年の崖」を回避するために企業が進むべきDX実現の道とは
「基盤となるITシステムの再構築へ向けた検討」「それを可能にする経営戦略の確立」「ユーザー企業とベンダー企業の関係見直し」の3点が鍵となります。

①既存のITシステムの「見える化」
まずは経営者がDXの必要性を認識し、既存のITシステムの全体像を把握することが大切です。このレポートでも、企業が既存のIT資産を評価し「見える化」することを促すために、経済産業省がガイドラインや指標、診断スキームを構築することが提言されています。

自社の持つ情報資産の現状を分析し、機能別に刷新を進めることが重要です。たとえば、頻繁に変更が発生する機能はクラウド上で再構築、不要な機能は廃棄、変更すべき機能や新規機能は適宜クラウドへ追加するなどが考えられます。

なお、このレポートでガイドラインの取りまとめが必要であるとの指摘がなされたことから、後に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」が別途公表されました。

②DXで目指すべき姿の共有
DXの推進には、全社的な協力が求められます。DXは語源のとおり「デジタルトランスフォーメーション」であり、単なる新技術の導入ではありません。こうした新技術によって、ビジネスモデルや製品・サービスの変革を起こすことがDXであることを踏まえると、IT部門や一部の事業部門のみならず、経営者や大半の事業部門を含めた体制づくりが欠かせません。

これらの関係者の間で、「DXで何を目指すのか」という目的・ビジョンが共有されていることも大切です。このレポートでは、「明確な目標設定をせずに、レガシー刷新自体が自己目的化すると、DX につながらないものができ上がってしまい、再レガシー化の恐れがある」としています。

③ユーザー企業とベンダー企業の契約関係の再構築
ITシステムの開発や運用・保守を請け負うベンダー企業にとって、DX実現に向けた大規模なシステム刷新はリスクの高いものです。ベンダー企業のDXに対するモチベーションを高めるためにも、リスクを軽減するような契約関係の再構築が必要なケースもあるでしょう。

このレポートでは、いくつかのアイデアが示されています。たとえば、ユーザー企業がベンダー企業に対して要件定義まで丸投げしないよう要件定義工程を設計工程と分離させる、両者が上下関係ではなくパートナー関係にあるとの見方から「プロフィットシェア(開発されたシステムによる利益の一部を事後的にベンダー企業へ還元する)がなされるよう規定を作る、トラブル発生後の解決時間短縮や非公開性の担保のためのADR(裁判外紛争解決手続)の活用などがあります。

この記事をシェアする

  • Twitterでシェア
  • Facebookでシェア
  • LINEでシェア