WBEMとは、HTTPやXMLといったWeb関連の標準技術を応用し、コンピュータや通信機器などを
ネットワークを通じて遠隔から監視・管理するための技術仕様。
業界団体のDMTF(Desktop Management Task Force)が策定した標準で、最初の仕様は1996年に発行された。
企業の情報システムなどで管理者が一台のコンピュータから集中的に、ネットワーク上に存在する
様々な機器を管理することができる。
WBEM標準に対応していれば、監視対象の機器や管理用のソフトウェアなどは様々なメーカーの製品を
組み合わせて使用することができる。
対象機器やサービスの指定などにURI(Uniform Resource Identifier)を、送受信するデータの
記述にXMLを、通信プロトコルにHTTPやHTTPSを用いるなどWeb技術を多く取り込んでおり、
利用者はWebブラウザなどWeb対応ソフトウェアを用いて表示や操作を行なうことができる。
WBEMアーキテクチャを解説
デバイスを管理しようとしている操作者と、
実際のデバイスのハードウェアやソフトウェアの間に
WBEMコンポーネントがあると想定する。
操作者はデバイスの設定を行い、起動/停止を行い、警告を収集するなどの管理を行う。
操作者には、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)、ブラウザユーザインタフェース(BUI)、
キャラクタユーザインタフェース(CUI)のいずれかを使用。
WBEM にはユーザインタフェースに関する規定がほとんどない。
(一部アプリケーションのCUIは定義されている)
これはWBEMの長所で、システム本体とは無関係にユーザインタフェースを変更することが可能。
GUI/BUI/CUI は小規模なAPIを経由して WBEM クライアントに接続されている。
このクライアントは管理しようとしているデバイスのWBEMサーバ
(通常そのデバイス自身のある装置上で動作)を探し、XML で要求メッセージを作る。
クライアントは WBEM サーバに HTTP(またはHTTPS)プロトコルで要求を送る。
エンコードは CIM-XML 形式。
WBEM サーバは要求メッセージをデコードし、必要な認証チェックをして、
事前に生成された管理対象デバイスのモデルを参照して要求の処理方法を調べる。
このモデルが WBEM の中核である。
クライアントはモデルとやり取りし、モデルが実際の管理対象(ハードウェアやソフトウェア)とやり取りする。
モデルは CIM標準で書かれており、DMTF は典型的な管理対象デバイスやサービスについての
モデルをいくつも公表している(IPルータ、ストレージサーバ、デスクトップコンピュータなど)。
多くの操作では、WBEMサーバは実際のハードウェアやソフトウェアと通信する必要があるか、
モデルを使って判断する。
その通信は “provider” と呼ばれるWBEMサーバと管理対象との小さなインタフェース用コードで
行われる(CMPI という標準インタフェースを使用)。
インタフェースがきちんと決まっていて、呼び出しの種類も少ないので、provider を
書くのは容易である。
特に、provider を書くに当たって GUI/BUI/CUI を気にする必要はない。