最近注目されているマイナンバーカードとは何か、そのメリット、注意点、安全性について説明します。
【マイナンバーカードとは】
マイナンバーは、住民票のある人全てに割り振られている番号であり、そのマイナンバーが記載されているICカードが「マイナンバーカード」です。このマイナンバーカードは、健康保険証や運転免許証との一体化でも注目されています。この数ヶ月間で普及が加速し、2023年3月末時点で交付を申請している人は国民全体の76%に達したとのことです。
しかしマイナンバーカードを作ったが、「一体なんなのかよく分からない」という人も多いのではないでしょうか。また国民の間には、「個人情報が漏れたりしないのか」、「盗まれたり落としたりしたらどうなるのか」といった声もあります。政府が普及を急ぐ理由についても、「資産を把握して増税する布石だ」とか「国民を管理するためだ」と疑う声もあります。
【どのようなメリットがあるか?】
マイナンバーカードのメリットは大きく2つに分けられます。第1のメリットは、複数のカードなどの役割を兼ねられることであり、第2のメリットは、様々な手続きがオンラインで簡単にできることです。
第1のメリットとして注目されているのが、健康保険証としての利用(マイナ保険証への切り替え)です。マイナ保険証への切り替えにより、転職・引越しをしてもすぐに使えるたり、高額療養費制度の申請手続きが自動化されるなどのメリットがあります。さらに運転免許証やお薬手帳、母子健康手帳、介護保険被保険者証など、様々なカードや手帳の一体化が可能になる予定であり、非常に便利になります。
第2のメリットは、各種の行政手続きが簡易になり、またスピーディになることが挙げられます。マイナンバーカードを使えば、役所に行かずにオンラインなどでも各種の申請などが可能になります。さらに本年5月11日に実現予定のスマホへの機能搭載も注目すべきポイントです。スマホへの搭載により、マイナンバーカードすら持ち歩かなくても良い社会になるかもしれません。
【安全性は大丈夫か?】
ただ、マイナンバーカードが便利なツールだとしても、悪用されたり、個人情報が漏洩したりしないのかと不安に思う人は多いのではないでしょうか。結論から言えば、深刻に考えなくても大丈夫です。そのように言えるセキュリティ上の理由は以下4点挙げられます。
第1のポイントは、ICチップには重要な情報は入っていないということです。ICチップ内の中身は、本人であることを証明する電子証明書や、氏名、住所などの基本情報であり、税金や年金、治療歴といった重要な個人情報は入っていません。第2のポイントは、マイナンバーだけでは個人情報は盗めないということです。対面でマイナンバーカードを使う際には、必ずマイナンバーカードの顔写真と本人を照合することになりますし、オンラインではパスワードの入力が必要となるため、「マイナンバーカードが盗まれる=簡単に個人情報が流出する」という事態にはなりません。第3のポイントは、個人情報が分散管理されているということです。例えば税金関連は市区町村、年金関連は日本年金機構など、情報は担当する役所、機関がそれぞれ管理する方式をとっています。そのため芋づる式に情報が漏れることはありません。第4のポイントは、パスワードが4種類あり、続けて間違うとロックされるということです。利用する場面によって4種類のパスワードを使い分けることになっており、マイナンバーカードを使う際に戸惑う点の1つですが、それだけ安全性を重視しているということです。こうした安全策が取られていますが、サイバー犯罪も巧妙化しており、情報流出や悪用などの可能性はゼロではありません。パスワードの管理を含め、自衛策は不可欠です。
【政府の狙いは?】
第1の狙いは行政の効率化です。現状では、行政手続きで各行政機関が持つ情報の突き合わせや入力等に多大な手間がかかっています。マイナンバーカードにより業務の無駄をなくして、スピードアップを図ろうとしています。第2の狙いは国民の利便性向上です。行政手続きのオンライン化や提出書類の省略、スピードアップは国民にとってもメリットが大きいです。また行政が効率化すれば、人員を他の必要なサービスに回すこともできます。第3の狙いは正確性の向上です。大問題となった「消えた年金記録」のような、行政手続き上の間違いを防ぐことを目的としています。また政府は、所得の把握の精度を上げ、脱税や社会保障の不正受給を防ぐことも目的の1つとしています。最後は金融資産の把握です。預貯金などの資産を把握し、本当の負担能力に応じた税や社会保障の制度にすることも目的にしているようです。ただ、全ての銀行口座などへの紐付けが必要で、国民の抵抗感が強いため実際にできるかは不透明です。
【結論】
これまで述べたようにマイナンバーカードについては、メリットが大きいですが、注意は必要です。政府の狙いについてもその大半は行政の効率化や国民の利便性向上など、私たちにとってプラスの側面が大きいのも事実ですが、今後の展開次第では個人の行動の把握に使われる可能性もゼロではありません。またセキュリティについても政府はしっかりとした対策を採っていますが、こちらについてもリスクは決してゼロにはなりません。今後、どのような方向に進むか、活用されるかは国民の側にも責任があります。おかしな方向に進まないよう、私たち国民もしっかりとチェックする必要がありそうです。