こんにちは。
今回は衣類に発生するカビの話をしたいと思います。
まれに生成り風の綿のコートなどをクリーニングした後、部分的に白い斑点上の脱色が見られることがあります。一見、トイレ洗浄剤などの次亜塩素酸ナトリウムが飛散したようにも見えます。自然光で見ると脱色した点しか見られないのですが、ブラックライト照射試験をして蛍光反応を見ると、微細な点状の蛍光が集合し散らばっている状態が見られます。液体が付着したことによる脱色だと、いかにも水滴がついたような、縁がわかる形になりますが、この場合粉状の集合で、境目もはっきりしていないのが特徴的です。これは液状のものではない微細な生物が繁殖していったことを意味しています。
カビという言葉は俗称です。菌類や微生物の集落(コロニー)のことを一般的にカビと言っているわけです。養分を吸収して成長する真菌類であるカビの種類は7万種類もあるといわれており、日常的に空気中に浮遊しています。ほとんどの真菌類は、①温度20℃~30℃、②湿度70%以上、③酸素、④栄養(動物性たんぱく、植物繊維素など)の条件が整えば、どんなところでも活発に繁殖します。カビは栄養になる毛繊維や綿繊維などを酵素を出して分解し、養分として吸収して成長しますから、ポリ袋を掛けたままなど湿気の溜まりやすい状態にしておけば、クリーニング後であろうと、繁殖し生地を分解して破れやすくしたり、穴あき事故になる場合もありますので、大事な衣類ほど保管に注意が必要です。