今回のブログは睡眠について、お話ししたいと思います。
「睡眠は90分単位」は誤解
「良く眠るための新常識」
とても気になりませんか?
睡眠障害を専門とする、青山・表参道睡眠ストレスクリニック院長の中村真樹先生がとても興味深い記事を書かれておりました。
睡眠は、
・体の疲労を回復させるだけでなく、
・傷ついた細胞の修復(成長)
・免疫力の回復、ストレスの解消
・記憶の定着・整理
とさまざまな役割を担っています。
良い睡眠が取れないと、こうした役割が十分に果たされず、日中の眠気や集中力の低下はもちろん、免疫力の低下、血圧の上昇、体重の増加、メンタル不調など、さまざまな弊害を引き起こすことが近年の研究で明らかになってきています。
さらに、睡眠不足の蓄積は、将来の認知症発症リスクの上昇とも関係することが指摘されています。
では、良い睡眠とはどのようなものか。
自分の睡眠が「良い睡眠」であるかどうかを知るには、3つの条件があるそうです。
それは、
「量、質、タイミング」
1.十分な睡眠時間(量)
2.安定した眠り(質)
3.適切な時間・規則正しさ(タイミング)
この3つがそろうことで初めて「良い睡眠」となり、私たちの健康を守ってくれるというわけです。
ですが、十分な睡眠とは?や眠りの質の良し悪しとは?など、知らないことが多いと思います。
そこで、以下の8つの「新常識」を知りながら、「良い眠りとは何か」「良い眠りを得るためのさまざまな工夫」について、まとめてみます。
睡眠をめぐる8つの新常識↓↓↓↓
1. 「6時間睡眠」で足りているつもりでも、実は足りていない
2. 本物の「ショートスリーパー」はほとんどいない
3. 「90分単位だとすっきり目覚められる」とは限らない
4. 「深い睡眠」だけでなく「浅い睡眠」も重要
5. 夜中の「ゴールデンタイム」は存在しない
6. 睡眠不足の人ほどコロナの死亡リスクが高い
7. 睡眠不足は認知症を招く
8. 「眠る時間が不規則」だと脳卒中や心筋梗塞になりやすい
とてもセンセーショナルな新常識ですよね。
以下とても長いお話しになりますが、
興味ある方は更に読み進めてくださると幸いです!
新常識1の「6時間睡眠」では実は足りていないについてですが、
日本人の睡眠時間が短いというのはよく指摘されることだ。実際、経済協力開発機構(OECD)が2018年に行った調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、加盟33カ国の中で最も短かった。
7時間22分というのは平均値なので、実際には7時間も眠れていない人が多い。
厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」によると、成人男性の37.5%、女性の40.6%が、睡眠時間が6時間に満たない。
年代別に見ると、最も睡眠時間が短い50代では男性の49.4%、女性の53.1%と実に半数の人が6時間を切っていることが分かる。
必要な睡眠時間は個人差が大きいです。
理想のように感じる、8時間睡眠というのは「1日24時間を、仕事、睡眠、その他の時間に3分割して、キリがいいことから提唱された数字で、これといったエビデンスはない」
そうです。
「6時間未満というのは明らかに睡眠が足りていない」との事です。
米国の国立睡眠財団は、
18~64歳の成人に「7~9時間」の睡眠時間を推奨している。一般に年齢が高くなるほど睡眠時間が少なくなるが、それでも65歳以上の高齢者に「7~8時間」の睡眠時間を推奨している[注1]。
この数字はしっかりしたエビデンスに基づくもので、これより少ないと健康面に悪影響があることが分かっているそうです。
[注1] Hirshkowitz M, et al. Sleep Health. 2015;1(1):40-3.
新常識2の本物の「ショートスリーパー」はほとんどいないについてですが、
例えば、ナポレオンのように1日4時間くらいしか眠らなくても平気な人も実在する。
目覚まし時計など使わなくても毎日4時間前後の睡眠で自然に目が覚め、日中も眠気を感じないという人たち、いわゆる「ショートスリーパー」だ。
しかし、「本当に4時間睡眠で問題なく過ごせている人は、人口の数%程度しかいないようです。
ところが、1万人の日本人を対象に行われたWeb調査によると、自分をショートスリーパーだと認識している人が23.4%もいたんです。この人たちの平均睡眠時間は6時間15分。確かに日本人の平均睡眠時間より1時間程度少ないものの、本当のショートスリーパーなら4時間程度の睡眠で、目覚ましなしでスッと目が覚めています。
毎日4~5時間しか眠れなくても体は必死に適応する。それによって、自分はショートスリーパーだと勘違いしている人が多い。
だが、睡眠不足だと、どうしてもケアレスミスが増え、仕事の効率も落ちてしまいます。「全米自動車協会の交通安全財団が、交通事故を起こしたドライバーが事故前の24時間にどれだけ睡眠を取っていたか分析したデータがあります。7時間以上眠っていた場合に比べて、4~5時間の人では4.3倍、4時間未満の人では11.5倍も事故発生率が高かったそうです」
冒頭で紹介したように、良好な睡眠には量、質、タイミングの3つがそろっていることが重要。
いくら質の良い睡眠を取っても、少ない量をカバーすることはできない。
新常識3の「90分単位だとすっきり目覚められる」とは限らないについて、
「眠りの周期は90分なので、睡眠時間を90分単位で設定するとすっきり目が覚める」という話を聞いたことのある人は多いのではないか。この俗説も誤りだそうです。
睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があり、これが交互に現れる。
ちなみに「レム」とは「Rapid Eye Movement」の頭文字を取ったもので、直訳すれば急速眼球運動。
レム睡眠中はまぶたの下で眼球がきょろきょろと動いていることから名付けられた。
このとき夢は見ています。
ノンレム睡眠は深さによってN1からN3まで3段階に分類される。
「ノンレム睡眠、イコール深い睡眠だと思われていますが、これも誤解です。ノンレム睡眠には深い睡眠も浅い睡眠もあり、それぞれ脳波の形が全く違います」
寝入って20~30分後に現れるN3が最も深い睡眠で、起伏の少ない脳波の形状から「徐波(じょは)睡眠」とも呼ばれる。
これは脳が発達した霊長類に特有の睡眠とされ、ノンレム睡眠の中でも最も重要な部分。
眠りに落ちると、20~30分後に最も深いN3が現れ、そこから徐々に眠りが浅くなっていき、60~70分後にレム睡眠が始まる。レム睡眠が10~30分持続した後、再びノンレム睡眠へと向かっていく。
このノンレム睡眠から次のノンレム睡眠までのサイクルは、平均すると90分程度になる。そして浅いレム睡眠のときに目覚めると、すっきり目覚められる。ここから「眠りの周期は90分」「90分単位だと起きやすい」という俗説が広まった。
しかし、「90分というのはあくまで平均値であって、個人差も大きい上に、同じ人でも疲労度などによって変わってきます。
睡眠不足が続いていると、最初のサイクルが120分くらいに延びることもあります。
ですから、90分の倍数、つまり3時間とか4時間半だと起きやすいというのも誤解です」
かつての8時間神話に代わり、最近は6時間神話が広まっているようですが、「6時間眠れば大丈夫」というもので、背景には6時間が90分で割り切れることもあったのかもしれない。
しかし多くの人にとって、6時間では睡眠が足りない。
実験を見ても、6時間睡眠のグループは日がたつほどミスが増えている。
毎日単純なテストを繰り返すことで飽きてくるためか、8時間睡眠でも次第にミスは増えるのだが、6時間睡眠の人のミスの増加は明らかに多い。
新常識4の「深い睡眠」だけでなく「浅い睡眠」も重要について、
最も深いN3は眠り始めの2時間ごろまでに集中的に現れ、その後はだんだん睡眠が浅くなっていく。
そのため睡眠時間をいくら短くしても、大切な最初の徐波睡眠は確保されている。
3~4時間で起きると浅い睡眠が削られ、結果的に深い睡眠の比率が増えることになるので、「短時間でも質の良い睡眠が取れた」と言われることがある。
「浅い睡眠で長時間だらだらと眠るよりも、短時間でも『 深く眠る』方が疲れも取れる」「睡眠は量よりも質が大事だ」という主張ですが、深く眠れば満足感があるはずと言われても、実際に3時間睡眠で満足でき、日中の眠気も感じないという人はほとんどいない。
しかも、「深い睡眠、浅い睡眠にはそれぞれ役割があり、睡眠には浅い睡眠も必要不可欠です」
N3を含むノンレム睡眠は、体と脳の疲労回復のために必要な睡眠で、
レム睡眠は「記憶の整理が一番の役割と言われています」
レム睡眠の間は、筋肉(骨格筋)は休んでいるので体は動かないが、脳が活発に活動して、記憶の整理を行っている。
この作業が十分に行われないと、認知機能に影響を与えるのではないかと考えられているのだ。
実際に、レム睡眠の割合が少ない人は、認知症の発症リスクや死亡リスクが高いとする研究報告もあります。
単に眠りが深いだけでは「質の良い睡眠」とは呼べない。
なお、最近はスマートウォッチで自分の睡眠の状況を記録できるようになり、「深い睡眠」「浅い睡眠」の割合が表示される機種も登場している。だが、仮にこの測定で「深い眠りが少ない」と指摘されても、あまり気にする必要はないそうです。
「スマートウォッチは、主に脈拍の変化で睡眠状況を確認しています。実際、入眠時刻や中途覚醒は脈拍の変化などから推定できますが、睡眠の深さは、脳波を見なければ正確には分かりません。脈拍などから推定した睡眠の深さは、あくまで参考程度と思ってよい」
新常識5の夜中の「ゴールデンタイム」は存在しないについて、
睡眠に関する俗説といえば、「ゴールデンタイム」というのもある。
「夜の10時から深夜の2時にかけて、成長ホルモンが分泌される」というもの。
それによって、子どもなら文字通り体の成長が促されるし、大人の場合も傷ついた細胞が修復され、アンチエイジング効果も期待できるなどと言われる。
だが、「成長ホルモンにはゴールデンタイムというものはありません」と中村先生はおっしゃっています。
実は成長ホルモンが分泌されるのは決まった時間帯ではなく、眠りに落ちた最初のN3のときが最大。
N3が現れるのは入眠から30分後、ピークは入眠から1.5~2時間後ごろなので、昼に活動し、夜は眠るという生活をしていれば、深夜0時から2時ごろに当てはまるが、この時間帯に限った話ではないのだ。
実際、徹夜をしているときは、深夜0時を過ぎても成長ホルモンの分泌は増えない。夜通し起きていて、徹夜明けの昼に眠りについた途端、分泌が増えることが確認されている。
入眠時刻や外の明るさは関係なく、「睡眠の最初の3時間がゴールデンタイム」
つまり、成長ホルモンは時間帯によらず、入眠直後に分泌される。
徹夜をすると成長ホルモンはあまり分泌されないが、翌日の昼間に眠れば、その時間帯に分泌される。
そう聞くと、「じゃあ夜更かしをしたり、昼夜逆転の生活になったりしても問題ないのでは」と思う人もいるかもしれない。
だが、仕事などでやむを得ない人たちはともかく、できるだけ昼夜逆転は避けた方がいい。
成長ホルモンと違って、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールは、毎日一定の時間帯に分泌されるためだ。コルチゾールは交感神経を刺激し、心身を緊張させる働きがある。「明け方になるとコルチゾールが分泌されることで体温が上がり、体が目覚めやすくなります。逆に言うと、コルチゾールが分泌されているときに眠ろうとしても、深い睡眠は得られにくくなります」
そう考えると、やはり、早寝早起きするのに越したことはないと言えそうです。
いかがでしたでしょうか?
とても長い内容でしたが、睡眠について、とても興味深い話しだったかと思います。
知識をつけて、睡眠するとまた違った日々の過ごし方が出来るのではないかと思います。
健康に過ごすにも睡眠を今一度見つめ直してみてはいかがでしょうか?