この一年は、鴨肉の確保に気を揉む時間でした。
ヨーロッパ全土にわたる鳥インフルエンザの蔓延で、フランスの鴨肉がなかなか手に入らない。そのため、国産の鴨肉の需要が増えるため、どこの生産者の鴨肉も入手困難になってしまった。
鴨料理専門店であるが故に、鴨肉がないことで店を開けられない日も多々あり、自分たちのこれからを考えるようになった。
このまま鴨料理専門店を続ける事ができるのか?新たな食材を探すか?
そんな話を、お客様に話す機会があった。するとお客様からこんな言葉が返ってきた。
「マスターとママがいてくれるなら、どんな料理でもいいよ。そう思っているお客さん、たくさんいると思うよ」
とても嬉しい言葉を、この忙しい年末にプレゼントしてもらった。この店を引き継いで、丸9年。コロナ禍を何とか乗り越えて今がある。ずっとお客様に向き合い、できる限り話しかけてコミュニケーションを取る事で、お客様から一定の信頼を得る事ができたのではないかと思うこの一言だった。
DXが進んでいる飲食業界だが、お客様へのアナログなコンタクトはこれからとても重要な事だと改めて思った。