今回は、小規模事業者であれば是非活用したい融資制度として「マル経融資」について解説させていただきます!
費用の負担を安く、手軽に借り入れをしたいと考えている方はぜひご一読ください。
マル経融資とは
マル経融資とは、「小規模事業者経営改善資金」の通称で、小規模事業者の経営をバックアップするために、無担保・無保証人・低金利で融資を受けることができる日本政策金融公庫の融資制度です。
一番の特徴は、直接日本政策金融公庫に借り入れを申し込むのではなく、商工会議所の推薦にもとづいて、日本政策金融公庫が融資の判断をしてくれますので、商工会議所の推薦がある分、有利な条件で借り入れをすることができるという事です。
どの様な事業者が利用できるのか
対象となる事業者の要件は下記の通りです。
●従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の法人・個人事業主
●商工会議所の経営・金融指導を受けて事業改善に取り組んでいる
●最近1年以上、同一会議所の地区内で事業を行っている
●商工業者であり、日本政策金融公庫の融資対象業種を営んでいる
●税金(所得税、法人税、事業税、住民税等)を完納している
まず、利用できる方は小規模事業者に限られます、1年以上同一の商工会議所・商工会の管轄地区内で事業を行っている必要があります。また、日本政策金融公庫の融資対象業種であり、税金等納めるものをしっかりと納めている方が対象となります。
そして、何よりも重要なのが「商工会議所の経営・金融指導を受けて事業改善に取り組んでいる」こととなります。これについては「指導要件」と呼ばれ、約6か月以上に亘り、商工会議所の経営指導を受けている必要があります。経営指導と聞くとかなり大変なイメージですが、これは商工会議所等の交流会やセミナーなど事業を利用していることでもOKです。
利用の方法
マル経融資の利用に関しては、通常と申込みの窓口が異なります。日本政策金融公庫のその他の制度では、公庫の窓口(ネット含む)にて借入申込書を提出しますが、マル経融資については、事業者の所在地を管轄する商工会議所の窓口にて、「推薦依頼申込書」を提出することとなります。
実際に融資金が口座に入金されるまでは、以下のステップが必要となります。
STEP① 経営指導(6か月以上)
本制度の利用にあたっては、原則6ヵ月以上、商工会議所等の経営改善普及事業に基づく経営指導を受ける必要があります。経営指導とは言っても、それほど大げさなものではなく、セミナー参加や会員加入等でも認めてもらえるケースがあります。また、指導要件を充足していない場合でもある一定の要件のもと緩和する制度もあります。
(要件緩和については商工会議所の担当者との調整が必要になります。)
STEP② 事前相談
まずは、最寄りの商工会議所の窓口に行き相談を行うようにしてください。その際には、手ぶらで訪問するのではなく、確定申告書や決算書を持参してください。2期以上、決算申告をしている場合は、直近2年分の決算書が必要となり、決算後に半年以上経過している場合には、試算表(決算途中での成績表のようなもの)が必要となります。また、お金を借りる目的が、設備資金等の場合は、見積書も持参できるといいと思います。
なお、しかるべき担当者に対応してもらうためには、事前に電話をして相談の予約をしておくことが重要です。
(商工会議所の経営指導員と言っても、担当者の融資支援歴の長短によって、相談可能なレベルにばらつきがあります。)
STEP③ 推薦依頼の申込み
各種資料を持参し、しかるべき担当者と面談できた場合には、日本政策金融公庫への推薦可否について、ある程度判断していただくことができます。その場合には、「借入推薦依頼書」を記入することとなります。
※通常はその場での判断はされないケースが殆どです。推薦を行う上では、組織内での承認を得ることが必要で、上席に相談したうえで、案件化の判断がされることが多いです。
STEP④ 調査訪問
STEP③で推薦可否の目途がたった場合に、商工会議所の担当職員が、事務所訪問等を行います。その際に、STEP③で保留となっていた「借入推薦依頼書」を記入したり、提出した決算書の不明点、事業の詳細な内容等のヒアリングを受けます。
この際には、「自社について知ってもらおう・理解してもらおう」という気持ちで、できる限り説明できるように頑張りましょう。間違っても、「分からない」「知らない」などと答えないようにしましょう。
STEP⑤ 推薦
上記STEP④の後は、担当者による稟議作成、部署内での検討、審査会への上申・決裁等が行われます。審査会は、毎日行われるものではないため、STEP⑤の全体の時間としては2~3週間程度必要とすることがあります。
STEP⑥ 日本政策金融公庫での審査
商工会議所から日本政策金融公庫へ融資推薦がされた場合、通常2~3日以内に融資可決の決定がなされます。その場合は、調査に来た商工会議所の担当者から可決の連絡が来ます。また、日本政策金融公庫から、契約に関する書類が発送されます。
STEP⑦ 融資の契約手続き
上記のSTEP⑥でなされた決定に基づき、融資の契約書が郵送されますので、そちらに必要事項を記入の上、必要書類を添付の上、専用の封筒で送付しましょう。書類が日本政策金融公庫に到着してから3営業日程度で入金となります。
融資金が入金されるまでの目安の期間について
マル経融資は、通常よりも有利な条件で借り入れできる分「商工会議所の推薦」が必要となります。
推薦を得るためには、商工会議所内での決裁を経る必要があり、また商工会議所は融資の専門機関ではないことから、早くても2~3週間程度の期間を要してしまいます。そのため、STEP①の経営指導を除いたとしても、入金までに1か月半程度は必要となってしまいます。急に資金が必要になった場合には対応できないケースがありますので、十分にお気を付けください。
専門家への相談サービスをご活用ください
上記のように、借入までのステップが複雑であり、期間を必要することから、マル経融資の利用にあたっては、事前に制度への理解や計画を立てることが必要となります。自社が、本制度を利用できそうか、利用するためにはどのような準備をしたらいいのか、など専門家によるサポートを受けることも非常に効果的だと思います。
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