今月から年末まで、1年の中でも特に忙しい時期となり
日々が目まぐるしく回転し続ける中で、自分へ与えられる娯楽は目に見えて限られる。
私は映画が好きなのだが、繁忙期にも関わらず欲張って、映画館で2本の映画を見ることができた。
一つめは、漫画家の藤本タツキ先生が原作の『ルックバック』
どのような分野にも必ず存在する”天才”と、そうではない者の葛藤。
二つめは、人気ドラマと繋がりのある世界線が舞台の『ラストマイル』
下請けのさらに下請け業者たちが、決死の思いで繋ぐ世界。
どちらも娯楽の領域を超えて、私は静かに目を伏せ考えざるを得ない内容であった。
”個性のようなもの”を売りに仕事をしているが、見る人が見ればただの量産型。
そんな末端の私でも、人々を喜ばせるためのパーツとなれている。
忙しくなるほどに自分の現在地を見失ってしまう。
それでも、私はここにいてもいいんだと思いながら、小さな一つの歯車を回す。
ただし、今までと同じ日々のように見える別の日々が回るような感覚。
そんな思いを抱ける作品であった。