【経済指標】
アメリカで4月の失業率が発表されました。新型コロナウイルスの影響を受け失業率が急激に悪化し、戦後最悪の14.7%を記録しました。1982年12月(金融引き締めに伴う景気後退)につけた10.8%、2009年10月(リーマンショック)につけた10.0%を大きく上回りました。また農業部門以外の就業者数は、前月から2,050万人減少し、過去最大の減少となりました。
一方、お隣中国では、先日衝撃的なレポートが発表されました。中泰証券・研究所所長により発表された「中国の失業率はどれくらい高いのか?」というレポートです。同レポートによると2020年第1四半期に中国で新たに増えた失業者数はすでに7000万人を超え、失業率は20.5%前後だという内容です。中国政府が発表している失業率は6%前後となっていますが、同レポートで発表された失業率はその数値を大きく上回っています。
同レポートによると、中国の失業率は、出稼ぎ労働者の状況を正確に反映することはできていないとしています。出稼ぎ労働者は都市部で仕事がなくなると、農村に帰って農民となるため、彼らが都市部で仕事を失っても失業者という形では表に出てこないのです。
【株式市場】
このように雇用問題が各国で噴出する中、マーケットには強気の声が台頭しつつあります。アメリカの戦後最悪の失業率が発表された5月8日(金)のNYダウは24,331.32(前日比+455.43)、ナスダックは9,121.32(前日比+141.66)と終日堅調な展開でした。マーケットでは「コロナ・ショックについてはほぼ克服された」とか、「株価は悪材料の大半を織り込んだ」、さらには「今回の株価下落は短期収束型の可能性が高い」といった声が大きくなってきました。勿論、未来のことは誰にも分かりませんが、私としてはこうした見解は楽観的に過ぎるように感じます。
今後、失業率の増加・可処分所得の大幅減少により、消費や投資もそれに比例して減少し、負の連鎖を招くことになると考えます。特に我が国日本は、コロナショック前から消費税増税による経済の後退が顕在化しており、また経済対策の規模やスピード感で他国に圧倒的に劣っているため、このままでは経済的クラッシュは免れません。こうした現状では短期・少額の投資を徹底して、現金比率を高めておくべきだと私は考えています。