一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 押す接客、引く接客 それぞれの特徴・メリット

押す接客と引く接客は、販売やサービス業において顧客との関係を築くための重要な手法です。どちらも適切に使い分けることで、顧客の満足度を高め、購買意欲を促進することができます。それぞれの接客スタイルには異なるメリットがあり、状況や顧客のニーズに応じて使い分けることが成功の鍵となります。

押す接客のメリット

押す接客とは、販売員が積極的に商品やサービスを提案し、顧客に対して購買を促進するスタイルです。以下は押す接客の主なメリットです。

1. 顧客の購買決断を後押しする

押す接客では、販売員が積極的に商品の利点や特徴を説明し、顧客が商品に対して抱く疑問や不安を解消します。このようなアプローチは、顧客が購入を迷っている場合に非常に有効です。特に、高額商品や専門的な知識が必要な商品では、販売員の説明が購入の決定打となることがあります

。例えば、「この商品は今だけの限定品です」といった情報や、「この機能は他の商品にはない特別なものです」と強調することで、顧客が「今買わないと損だ」と感じるように仕向けます

2. 商品知識を活かせる

押す接客では、販売員の豊富な商品知識が大きな武器となります。顧客が求めているもの以上の価値や利用方法を提案することで、購買意欲を高めることができます

。例えば、「この服は3通りの着方ができます」といった提案は、顧客にとってお得感を感じさせるため、有効です

3. 顧客との信頼関係構築

積極的にアプローチすることで、販売員と顧客との間でコミュニケーションが深まりやすくなります。特に、顧客が何か質問した際に即座に対応できると、「この人なら信頼できる」と感じてもらえる可能性があります

。また、一歩踏み込んだ提案を行うことで、顧客との距離感が縮まり、リピーター獲得にもつながります

4. 限定感による購買意欲の刺激

「数量限定」「期間限定」「今だけ」といった言葉を使うことで、顧客に「今買わないと手に入らない」という心理的プレッシャーを与えます。この限定感は、日本人特有の心理にも合致しており、多くの人々が「今しかない」と感じて購入につながりやすくなります

引く接客のメリット

引く接客とは、販売員があえて積極的なアプローチを控え、顧客自身から問い合わせやアクションがあるまで待つスタイルです。以下は引く接客の主なメリットです。

1. 顧客の自由度を尊重できる

引く接客では、顧客に対して過度なプレッシャーをかけず、自分のペースで商品を見ることができます。これにより、「店員につきまとわれている」という不快感を避けられます

。特に、自分でじっくり選びたいタイプのお客様には、このスタイルが好まれる傾向があります

2. 顧客から信頼されやすい

強引なセールスは逆効果になることがあります。「売りつけられている」と感じた顧客は、その場で購入せずとも他店で同じ商品を探そうとする可能性があります

。一方で、引く接客では「無理には勧めない」という姿勢を見せることで、「この店員は信頼できる」と感じてもらいやすくなります

 

。例えば、「他のお店も見てから決めてください」と伝えることで、お客様は安心感を持ち、その後戻ってきて購入するケースもあります

3. 顧客のニーズを引き出しやすい

引く接客では、お客様自身から質問や要望が出てくるまで待つため、その時点で具体的なニーズや興味が明確になります。このタイミングで適切な提案を行うことで、お客様とのコミュニケーションがスムーズになりやすいです

。また、お客様自身から声をかけてもらうことで、「自分から選んだ」という満足感も得られます。

4. 長期的なリピーター獲得につながる

引く接客では、一度購入しなくても「また来たい」という印象を残しやすいというメリットがあります。無理強いせず、お客様自身のペースで選んでもらうことで、「次もこの店で買いたい」「次回もこの人から相談したい」と思ってもらえる可能性があります

押す接客と引く接客のバランス

最も効果的なのは、この「押す」「引く」のバランスを上手に取ることです。例えば、お客様が商品について迷っている様子ならば、一歩踏み込んで提案する(押す)ことが有効ですが、それでも反応が薄ければ一旦距離を置き(引く)、再びお客様からアクションがあるまで待つというスタイルです

。お客様それぞれの性格やニーズによって、このバランスは変わってきますので、観察力と柔軟性が求められます。

まとめ

押す接客と引く接客にはそれぞれ異なるメリットがあります。押す接客では積極的な提案によって購買意欲を刺激し、信頼関係構築にもつながります。一方で、引く接客ではお客様自身のペースで選ばせることで自由度と安心感を提供し、長期的なリピーター獲得につながります。この両者を上手に使い分けることで、お客様一人ひとりに合わせた最適なサービス提供が可能となり、高い満足度と売上向上につながります。

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