1. Clean Architecture(クリーンアーキテクチャ)
概要
- 目的: アプリケーションのビジネスロジック、UI、データベース、外部サービスとの依存関係を明確に分離。
- 設計思想: ビジネスルールを中心に据え、外部の技術スタックに依存しないようにする。
- 層構造:
- Entities: ビジネスルールやドメインモデル。
- Use Cases (Application Services): アプリケーション固有のビジネスロジック。
- Interface Adapters (Controllers, Gateways): 外部インターフェースとの接続。
- Infrastructure (Frameworks & Drivers): データベースやUI、外部APIなどの技術的詳細。
メリット
- ビジネスロジックの独立性が高く、変更に強い。
- テストしやすい(特にユニットテスト)。
- 技術的な依存関係が減少。
デメリット
- 初期の設計・実装コストが高い。
- 小規模プロジェクトでは過剰設計になる可能性。
おすすめするケース
- 長期間運用する予定のプロジェクト。
- ビジネスロジックが複雑で、頻繁に変更が予想される場合。
- 技術スタックの変更が予想される場合。
2. DDD (Domain-Driven Design)
概要
- 目的: ビジネスドメインの知識を中心に据え、ビジネス要件を正確に反映する設計。
- 設計思想: ドメインモデルを中心に据え、業務の複雑性を適切に管理。
- 主要な要素:
- Entity: 一意性を持つオブジェクト。
- Value Object: 値として扱うオブジェクト。
- Aggregate: 関連するオブジェクトの集まり。
- Repository: 永続化の責任を持つ。
- Service: ドメインオブジェクトに収まらないビジネスロジック。
メリット
- ビジネス要件や業務フローを反映しやすい。
- 大規模・複雑なシステムでも適切に管理できる。
- ビジネスの変更に柔軟に対応できる。
デメリット
- 学習コストが高い。
- 小規模プロジェクトではオーバーエンジニアリングになる可能性。
おすすめするケース
- 業務ドメインが非常に複雑で、ビジネスロジックが多岐にわたる場合。
- 大規模チームでの開発や複数サービス間の連携が必要な場合。
- ビジネス要件が頻繁に変わる場合。
結論:どちらを選ぶべきか?
小〜中規模プロジェクト or 技術優先
- Clean Architecture をおすすめします。
ビジネスロジックを明確に分離し、技術的な依存を避けることで、保守性とテストしやすさを向上させます。
大規模プロジェクト or ドメイン複雑性優先
- DDD をおすすめします。
業務ロジックの整理やドメイン知識の明確化を通じて、長期的なビジネス価値を最大化できます。
併用も可能
実際には、Clean Architectureの設計の中でDDDの要素を取り入れることがよくあります。たとえば、Use Casesの中でDDDのAggregateやRepositoryを利用するなど。
おすすめの進め方
- Clean Architectureをベースにアーキテクチャを設計。
- 業務ロジックが複雑化してきたら、DDDのエッセンス(Entity, Aggregate, Repository)を取り入れる。
このアプローチなら、最初はシンプルに設計をスタートし、後から柔軟に拡張できます。
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