新しい年になりましたが、今年も仕事が続きますようにと思う毎日です。今年で丸32年間左官という仕事をしていますが、まだ毎日が修行の日なのです。左官と言いましてもビルの工事から土間専門や木造建築等さまざまです、家の家業でもありました左官業ですが、自分自身全く継ぐ気はなかったですし、父からもあとは継がせないと言われていました。会社員をして5年目の時、父が交通事故で亡くなりました、いろいろな葛藤もありましたが、日本の伝統職が身近にありながらこのまま後を継がなくていいのかと思い、父の育てた職人さん達に習い今までやってこれました。ほんとうにやりがいのある職で日々修行です、同じ仕事内容でも立地条件や季節等でも変わってくる、よくこの材料の配合はと聞かれますが、季節や天候によっても変わる、マニュアル等ないに等しい。目、耳、手の感覚が全て。壁を塗るのは手の感覚。何年で一人前になれるかと言う質問をよくされますが、答えは無し。その人のやる気とセンス、5年でできる人もいれば10年でものにならない人もいます。最近若い職人さんがいないんです、なり手がいない等問題視されていますが、覚える期間が長く続かない、すぐにお金にならない、1番の問題が仕事量の激減。私は一般木造建築に携わっていますが、1棟の家で基礎の部分だけを塗る物件が多々あります。昔のように土壁から内外装の仕事などなかなか無くなってしまいました。これでは教えられませんし、なり手もいませんね…でも旅館に行ったら落ち着きませんか?和の建築物、なんだか懐かしくホッとしますよね、そんな所に行くとやはり見てしまうのです、こんな仕事してるんだ、どうやって仕上げてるんだ、職業病ですかねー。仕事をしていても離れても日々勉強の毎日です。こんな家業で良かったとこの頃思えます。