ゼロトラスト(Zero Trust)とは、「誰も信用しない(Never Trust, Always Verify)」という考え方に基づくサイバーセキュリティモデルです。従来のセキュリティでは、社内ネットワークを信頼し、社外からのアクセスのみを制限していました。しかし、近年のクラウド活用やリモートワークの増加により、内部ネットワークのみに依存したセキュリティ対策では不十分となりました。
従来のセキュリティ(境界型) | ゼロトラストセキュリティ | |
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ネットワーク | 社内ネットワークを信頼 | すべてのネットワークを疑う |
アクセス管理 | VPNなどで一括許可 | ユーザー・デバイスごとに細かく制御 |
データ保護 | ファイアウォールで外部からの攻撃を防ぐ | 内部・外部を問わず監視・制御 |
リスク対応 | 侵害されてから対処 | 侵害を前提に監視・対策 |
パスワードだけでなく、指紋認証やワンタイムパスワード(OTP)など複数の認証方法を組み合わせることで、不正アクセスを防ぎます。
エンドポイント(PC・スマホなど)のセキュリティを監視し、脅威を早期に検知・対応。
ネットワークを細かく分割し、仮に1つの部分が侵害されても他の部分への影響を防ぐ。
ログデータを収集・分析し、不審なアクセスや攻撃をリアルタイムで検知。
Googleは、従来のVPNを廃止し、すべてのアクセスをゼロトラストベースで管理する「BeyondCorp」を開発。従業員がどこからでも安全に業務を行える環境を構築。
MicrosoftはAzure Active DirectoryやMicrosoft Defenderを活用し、企業向けに包括的なゼロトラストセキュリティを提供。
銀行や証券会社では、顧客データの保護やリモートワーク環境のセキュリティ強化のためにゼロトラストを導入。
✅ セキュリティ強化:内部・外部の脅威に対応可能
✅ クラウド・リモートワーク対応:VPN不要でどこからでも安全にアクセス可能
✅ データ漏洩リスク低減:最小権限アクセスで情報を適切に管理
⚠ 導入コストが高い:システムの再設計や新たなツール導入が必要
⚠ 運用の複雑化:細かいアクセス管理が求められる
⚠ 従業員の適応が必要:新しい認証システムへの慣れが必要
ゼロトラストセキュリティは、従来の境界型防御を超えた新しいサイバーセキュリティモデルとして、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)とともに導入が進んでいます。クラウド化やリモートワークの普及に伴い、今後もゼロトラストの重要性は高まるでしょう。
企業にとって、セキュリティの強化は競争力を維持する上で不可欠です。ゼロトラストを段階的に導入し、安全なIT環境を構築することが求められます。