行政書士として独立・開業を予定しております。書類作成のエキスパートとして行政書士の業務内容は幅広いですが、その中の1つとして、契約書(合意書、示談書)等の作成があります。そこで、契約書作成を行う側の立場から、契約書の重要性について解説させていただきます。
契約とは、締結当事者間における「決め事、約束事」です。売買契約、業務委託契約、雇用契約等々、世の中には様々な契約が存在しますが、多くの契約は原則として、その内容について当事者間に合意があれば、書面ではなく口頭でも成立します(例外的に、書面がないと成立しない契約もあります)。それではなぜ、契約の締結において契約書という書面が重要になるのでしょうか。
契約書の最も重要な役割は、「想定される紛争を、未然に防ぐこと」です。通常契約においては、様々な内容が定めれらます。例えば、不動産の売買契約を締結する場合、物件の特定、売買代金、支払いや引き渡しの期日、対象不動産に瑕疵があった場合の対応など、合意内容は時には数十条にわたります。これらの合意内容について、あらかじめ契約書という書面にしておくことで合意内容が明確となり、後日に起こりうる「◯◯について合意した、合意しなかった」という水掛け論的な紛争を未然に防ぐことができます。また、紛争の解決の場が裁判所になった場合でも、この契約書を証拠とすることができます。
業界や業種によっては、口頭または簡素な契約書だけで契約を結ぶことがあります。「信頼できる相手だから、紛争なんて起こらない。契約書も要らない」「契約書を求めると、相手を信頼していないと思われて失礼だ」といったご意見もあります。しかし、信頼できる相手と安心して継続的に取引を行っていくためにこそ、取引内容や合意内容をきちんと書面に残すことが重要になります。「契約に際して契約書を作成する」ことは、支払いにおいて請求書や領収書を発行することと同様に、ビジネスマナーの一つであると考えます。
契約書の作成や、契約締結(契約書への署名捺印・記名押印)前の契約書内容の確認(リーガルチェック)は、紛争の未然防止にとって極めて重要です。これらをお考えの方は、一度行政書士や弁護士にご相談してみはいかがでしょうか。