人工林の手入れ
人工林を機能させるためには、間伐などによって森林を育てる手入れを定期的に行う必要があります。
現在は植栽以降放置されている人工林が目立ちますが、植栽後も下刈りや除伐、間伐、主伐など手入れを継続することで、残存木の幹は太くなり基岩層の亀裂に根を張り、地盤の浸食や崩壊を防ぐ機能を取り戻します。
また、人工林の手入れを行うことで、森の中に日光が差し込み、今まで発芽できなかった色々な木の種子が育ち、本来の天然林の再生を目指すこともできます。
野生鳥獣による森林被害を防ぐ
人工林を手入れしても、鹿や熊など野生鳥獣の食害や剥皮被害を防がないことには、土砂崩れに強い森林を整備することはできません。
林野庁によると、2015年度の野生鳥獣による森林被害面積は約7万8000haであり、年々拡大傾向にあります。これを放置すると、下層植生の消失や剥皮による森林の枯死などで土砂崩れのストッパーが減り、災害のリスクが高まります。
人工林が災害時に有効に機能するためにも、防護柵や食害防止チューブなどの設置、駆除による適切な個体数の管理といった対策が必要になります。
広葉樹林の保全
土砂崩れ対策として、人工林だけでなく広葉樹(天然林)の保全も有効です。
その場所で育った広葉樹林は、多様な樹種を持ち、地域への適応力も強い森林です。現在の植生が持っている表面侵食防止機能や土砂崩壊防止機能を守るために、不用意な伐採を避けるなどの保全が求められます。
その植生の維持や健全化のためには、天然更新や樹木の成長を助ける作業など、天然林であっても人手による管理が不可欠です。
まとめ
現在の日本の森林は、過伐採ではなく人工林の放置などが原因で土砂崩れが多発している状況といえます。
国内林業の採算悪化や人手不足などの問題はありますが、異常気象の増加で土砂災害のリスクは増えています。少しでもその被害を減らすために、人工林や広葉樹林の管理の徹底が求められています。