四十肩とは、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節を構成する軟部組織(筋・腱・関節包・滑液包)に炎症が起きることで可動域制限や痛みが生じる疾患です。
特に40〜60代に多く発症し、加齢に伴う組織の変性が主な背景にあります。
肩関節は非常に可動域が広い関節ですが、その分安定性を周囲の筋肉と靱帯に頼っている関節です。
四十肩では、関節包の線維化・癒着や滑液包の炎症、腱板の拘縮が同時に進行すると言われています。
四十肩は大きく3つの時期に分かれます:
炎症期(急性期):
強い痛みが出る時期。炎症性サイトカイン(IL-1、TNF-αなど)が増加し、組織の腫脹と夜間痛を招きます。
拘縮期(慢性期):
痛みはやや軽減するが、コラーゲン線維の過剰沈着により関節包が固まり、可動域が大きく制限されます。
解氷期(回復期):
体内のマクロファージによる組織修復が進み、徐々に可動域が回復していきます。
ただし、運動療法や手技療法での適切な介入がなければ、可動域が完全に戻らないケースもあります。