創業資金の検討をする際や、これから融資の申し込みをしようと考えている方は、「これは運転資金?設備資金?」と迷ったことはありませんか?
日本政策金融公庫や銀行の創業融資や事業性の融資では、資金使途を正しく区分することが審査通過の重要なカギになります。
本記事では、運転資金と設備資金の違いから、資金使途の具体例、審査や返済条件の違い、そして両者を併用する際の注意点まで、実務に役立つ情報をわかりやすく解説します。
創業時や事業拡大の際、資金調達を検討する中で多くの方が直面するのが、「この資金は運転資金で借りるべきか?それとも設備資金か?」という疑問です。
特に日本政策金融公庫(以下、公庫)の融資を検討する際には、資金使途(しきんしと)=何のために使う資金かを明確にすることが求められます。この判断を誤ると、融資審査において「資金使途が不明確」とされ、融資が否決されてしまう可能性もあります。
今回は、創業者や中小企業の経営者の方が迷いやすい「運転資金」と「設備資金」の違いを整理した上で、それぞれの特徴、公庫融資での取り扱い方、併用する場合の注意点についてわかりやすく解説します。
運転資金とは、日々の事業活動を円滑に進めるために必要な資金を指します。つまり、事業が継続して回るために、定期的に支払う必要がある費用に充てられるお金です。
例えば、以下のような費用が具体例として挙げられます。
○商品や原材料の仕入代金
○外注費・業務委託費
○従業員の人件費
○店舗や事務所の家賃・水道光熱費
○広告宣伝費やマーケティング費用
○通信費や交通費
○既存借入金の返済(※条件付き) など
「創業直後の売上が安定していない時期」「売掛金の入金よりも先に支出が発生する場合」「新規事業を始めたばかりで、運転費用が先行する場合」などは、一時的にまとまった資金が必要になるケースがあります。
例えば、店舗ビジネスを始める場合、開業初月から家賃や人件費はかかりますが、売上は軌道に乗るまで時間がかかります。
このような「先にお金が出ていき、あとから売上が入ってくる」ような構造をカバーするために、運転資金はとても重要です。
設備資金とは、長期的に事業に活用する設備や資産を購入・導入するための資金です。一時的な費用ではなく、5年〜10年以上使い続ける設備への投資が該当します。
具体的には以下のよう設備や資産の購入が例として挙げられます。
○店舗や事務所の内外装工事費
○厨房機器や製造機械などの設備
○事業用の自動車
○業務用PCやPOSレジなどのIT機器
○土地や建物の取得資金(※一部対象外あり)
「新規開業時に店舗を改装したい」「製造機械を入れ替えて生産効率を上げたい」「営業用の車両を新たに購入したい」「事務所を新設・移転したい」などの場合は、一般的に設備資金が必要になる場面と言えます。
これらの支出は一時的に大きな額になることが多いため、長期の借入にして毎月の返済額を抑えることが望ましいです。そのため、設備資金として借りるメリットがあります。
公庫の融資審査では、「何に使う資金なのか」が非常に重視されます。申請者が希望する金額や期間、返済能力だけでなく、「その資金を何に使うか」が審査通過のカギです。
そのため、資金の内容に応じて、運転資金と設備資金を正しく分類し、申請書に明記する必要があります。
借入申込時には「資金使途欄」を記入する欄があります。そこに「運転資金」「設備資金」「両方」といった記載をします。
「設備資金」として申請する場合は、原則として見積書や契約書などの添付書類が必要です。
一方で、「運転資金」は使途の内訳を事業計画書で説明すれば足りることが多いです。
比較項目 | 運転資金 | 設備資金 |
主な使途 | 日常の経費 | 設備・資産への投資 |
融資期間 | 比較的短め(〜5年程度) | 長め(設備の耐用年数が目安) |
添付書類 | 原則不要、資金繰り表など | 見積書・契約書等が必要 |
担保 | 原則不要 | 金額によっては必要 |
審査ポイント | 資金繰り・収支計画 | 投資の効果・業績見込み |
設備資金は返済期間が長く設定できる傾向があり、月々の返済負担を軽くすることが可能です。たとえば、500万円を運転資金で3年返済にする場合と、設備資金で7年返済にする場合では、月々の支払額は大きく変わります。
公庫では運転資金と設備資金を併用しての借入申請が可能です。創業融資でも既存事業者の融資でも、以下のようなケースが一般的です。
【カフェ開業の場合】
・店舗の内装費や設備の購入費(設備資金)
・開業後3ヶ月分の人件費や家賃、仕入代金(運転資金)
このように「最初の投資」と「立ち上がり期の資金繰り」を同時にカバーするため、運転資金+設備資金の組み合わせが有効です。
公庫に提出する「創業計画書」や「資金繰り表」には、それぞれの資金使途を具体的な金額と内訳で記載することが望ましいです。
● よくあるNGパターン
・「全部運転資金で」と曖昧な説明をする
・見積書のないまま「設備資金」として申請する
・実際は使途が異なるのに、便宜的に書類上だけ切り替える
● 融資実行後の資金の使い道もチェックされることがある
・公庫では融資後に「資金の使途確認」が行われることもあります。事前に説明した通りに資金を使うことが原則です。
・使途が違うと、今後の追加融資や信頼性に影響が出る恐れがあり、その後の公庫での融資利用が出来なかったり、一括返済が必要になるケースもあります。
①資金の使い道が明確か?
「何に使うか」がハッキリしていれば分類しやすい
➁返済期間や毎月の返済額をどう設計するか?
短期資金か、長期返済向きかで選ぶ
③公庫側に説明がしやすいか?
見積書が用意できる設備投資は、設備資金で申請する方が合理的
資金調達の第一歩は、「正確な資金計画」から始まります。運転資金と設備資金の使い分けは、単なる区分ではなく、あなたの事業の成否に直結する戦略的な判断でもあります。
「どちらで申請すべきか分からない」「資金計画に不安がある」
そんな方は、創業融資に詳しい専門家に相談することで、審査通過率の向上と、資金の有効活用の両立が可能になります。
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