一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 個人事業主が今すぐ始めるべき情報セキュリティ対策とは

~知らなかったでは済まされないリスクとその向き合い方~

最近、個人事業主やフリーランスの方から「セキュリティって何から始めたらいいの?」「ウイルス対策ソフトを入れれば大丈夫?」といった質問をよく受けます。

結論から言うと、今の時代、セキュリティは「やるかやらないか」ではなく「やらないと生き残れない」ものです。今回は、情報セキュリティの基礎知識から最新トレンド、具体的な対策、考え方までを、個人事業主向けにわかりやすく解説します。


そもそも「情報セキュリティ」とは?

情報セキュリティとは、ざっくり言えば「情報を守る仕組みや考え方」のことです。主に以下の3つの要素で構成されます:

  1. 機密性(Confidentiality):許可された人だけが情報にアクセスできること

  2. 完全性(Integrity):情報が正しく、改ざんされていないこと

  3. 可用性(Availability):必要なときに情報が利用できること

たとえば、お客様の個人情報をうっかりメールで第三者に送ってしまうのは「機密性の侵害」。データが壊れたり改ざんされたりすれば「完全性の侵害」。PCがウイルスで起動できなくなれば「可用性の侵害」です。


個人事業主が狙われる3つの理由

1. セキュリティ意識が低く、対策が甘い

「自分には重要なデータなんてない」と思いがちですが、取引先とのメール、顧客の連絡先、請求書データなど、すべてが価値ある情報です。

2. 中小企業や取引先の“踏み台”にされる

攻撃者は、まず個人や小規模事業者を狙い、そこから大手企業へと侵入する「サプライチェーン攻撃」を仕掛けてきます。

3. ランサムウェアやフィッシングの標的になりやすい

「英語のメールは苦手」「つい添付ファイルを開いてしまう」というスキが狙われます。


最近のセキュリティトレンド:攻撃はますます巧妙に

  • 生成AIの悪用:ChatGPTなどを悪用して自然な文章のフィッシングメールが作られる時代に。

  • QRコード詐欺:請求書のQRコードを偽装し、振込先を詐欺業者に変える手口。

  • SNSアカウントの乗っ取り→詐欺拡散:フォロワーの信頼を悪用して偽情報を拡散。

  • クラウドの設定ミスによる情報漏えい:Google DriveやDropboxなどの“誰でも閲覧可能”設定のまま放置。


個人事業主が実践すべき具体的な対策

① パスワード管理と2段階認証

  • 「123456」や「password」は即刻NG。12文字以上の英数字+記号に。

  • サービスごとに別パスワード、**2段階認証(2FA)**は絶対に設定。

  • 【おすすめツール】1Password、Bitwarden、Google Authenticator

② OS・ソフト・プラグインのアップデート

  • 特にWordPressやプラグインは、脆弱性が狙われやすい。

  • 自動更新をONにし、定期的なメンテナンスも忘れずに。

③ セキュリティソフトの導入と定期スキャン

  • 無料ソフトではなく、ビジネス向けのものを選ぶのが理想。

  • 【おすすめ例】ESET、カスペルスキー、ノートン、ウイルスバスター

④ クラウドサービスの権限管理

  • Google WorkspaceやDropboxで「共有リンクが全員に公開」になっていないか確認。

  • 機密資料はパスワード付きZIPではなく、アクセス権限管理を。

⑤ バックアップの習慣化

  • PCやスマホが壊れても業務が続けられるように。

  • 【おすすめ】Google Drive、OneDrive、外付けHDD+クラウドのハイブリッド方式

⑥ 公共Wi-FiではVPNを使用

  • スタバやコワーキングスペースで仕事をするなら、通信内容が傍受されるリスクを知るべき。

  • 【おすすめVPN】ProtonVPN、NordVPN、Surfshark


「セキュリティ=コスト」はもう古い。今は“信頼の土台”

セキュリティ対策をしていない事業者は、今後取引先からも消費者からも信頼されません。
特にBtoB事業やEC、業務委託などでは、「セキュリティに配慮しているか?」がパートナー選定の基準になることも増えています。


セキュリティ対策の考え方:完璧を目指さず“弱点を減らす”

どんなに高性能なセキュリティソフトを入れても、**最後の防波堤は「人」**です。
自分自身が引っかからないこと、社外パートナーやスタッフにも注意喚起することが重要です。

ポイント:

  • 「不審なメールは開かない・クリックしない」ことを徹底する

  • 身近な人にもセキュリティ意識を共有する

  • わからないことはプロに相談する(IT顧問、クラウドサポートなど)


まとめ:個人事業の存続のために、今すぐできる一歩を

情報セキュリティは「いつかやろう」では間に合いません。
今日からできることは、たとえばこんな一歩です:

  • Googleアカウントに2段階認証を設定する

  • パスワードを全部見直す

  • クラウド共有の設定を見直す

  • 無料Wi-FiをやめてVPNを導入する

小さな対策が、あなたのビジネスを守ります。

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