近年の気候変動により、アパレル産業にも大きな変化が生じている。10年前の8月下旬、平均気温は30℃前後で、朝晩は多少涼しさを感じる日も多く、店頭には長袖シャツや軽めのニット、秋色アイテムが並び始めていた。しかし、現在の晩夏は35℃を超える猛暑日が常態化し、秋物を着るには現実的でない。これにより、リネンやシアー素材、ノースリーブの晩夏対応商品が主力となり、「秋の立ち上がり=重衣料」という構図は崩れつつある。商戦も前倒しせず、暑さに対応した“晩夏対応”のワンクッション商材が求められる時代となっている。秋の訪れを演出しつつ、実用性を両立するクリエイティブな商品企画が、今後の勝敗を分ける鍵となるだろう。