「分散投資は株と債券を組み合わせるといい」
──そんな常識が、ここ数年で崩れつつあります。
かつては、景気が良くなると株価が上がり、金利も上がることで債券価格は下がる。
逆に景気が悪くなると、株価は下がるが、金利が下がって債券価格は上がる。
この「逆相関」が、リスク分散の基本でした。
でも最近は違います。
株も債券も、同じタイミングで下がることが増えてきました。
なぜか?
大きな理由は「インフレ」の影響です。
インフレが進むと、中央銀行(アメリカのFRBや日本銀行)は金利を上げます。
すると、企業の業績が悪化しそうだと株は下がり、
一方で、金利が上がると債券の価格も下がります。
つまり、どちらも「インフレ+利上げ」に弱いのです。
しかもコロナ以降、株も債券も“中央銀行の動き”に敏感になり、
同じ方向に動きやすくなりました。
結果として、これまで「守り」とされてきた債券までもが、
インフレ下では「一緒に下がるリスク資産」になりつつあります。
これからの分散投資は、
「株と債券を組み合わせるだけでは安心できない」
そんな時代に入っているのかもしれません。