「商品開発の前に見つめ直すべきこと」
これまで多くの食品事業者の商品開発に携わってきました。その中で、ひとつの共通した課題に気づかされました。それは、「自社の立ち位置や理念をしっかり社員間で共有できている企業が非常に少ない」ということです。
新商品を生み出すとき、「今、何が流行っているか?」「原材料は確保できるか?」「価格は?」といった外向きの要素に目が向きがちです。もちろん、これらは大切な視点です。しかし、それ以前にもっと根本的な「自社を見つめ直す作業」が必要ではないでしょうか。
たとえば、自社がどの市場のどんな課題を解決するために存在しているのか。その背景にある企業理念は何か。そして、その理念を社員一人ひとりが理解し、共鳴しているか――。この基盤がしっかりしていないと、せっかく開発した商品も、社内の足並みが揃わず中途半端なものになり、継続的なヒットにつながりません。
逆に、企業の想いや立ち位置がチーム内で共有されていれば、「うちの会社ならこうする」「この商品がうちの使命を体現する」といった自信と軸を持った商品開発が可能になります。結果的に、それは顧客の共感を呼び、長く愛される商品になるのです。
商品開発とは、単なるモノづくりではなく、「自社らしさの表現」でもあります。そして社員全員のベクトルが揃っていること、何かに行き詰まった時に見直してみる事も必要です。