一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • フリーランスが心得ておきたい単価交渉の基本

個人事業主として働く上で、報酬に関する交渉は避けて通れない重要な要素です。
しかし、単価交渉に苦手意識を持つ方は少なくありません。「値上げを申し出た結果、契約が打ち切られるのではないか」と不安に思うのは自然なことです。

けれども、適切な単価交渉は自己主張ではなく、業務価値の適正な調整です。感情的なやりとりではなく、あくまで冷静に、論理的に進めるべき業務の一部と捉えるべきでしょう。

単価は初期設定が肝心

一度提示した単価を後から引き上げるのは容易ではありません。特に法人クライアントの場合、社内の予算申請や承認フローがあるため、見直しには相応の労力を要します。

そのため、最初の見積もり段階で、自身が納得できる最低限の金額を提示することが不可欠です。後から調整しようと考えるのではなく、初期段階での提示が勝負になります。

「受けなくてもよい案件」という視点を持つ

すべての案件を確実に受注しようとする姿勢は、一見堅実なようでいて、長期的には報酬単価の低下や過重労働につながるリスクをはらんでいます。

大切なのは、「もし条件が合わなければ、受けなくても問題ない」という前提で交渉に臨むことです。断られても良いという選択肢を持つことで、交渉の主導権が生まれ、過剰な妥協を避けられます。

論理的な説明を心がける

単価交渉では、感情や抽象的な訴えではなく、具体的かつ合理的な理由付けが効果的です。以下のような伝え方が参考になります:

  • 「作業内容の増加に伴い、再見積もりをお願いできればと思います」

  • 「他の案件とのバランスを踏まえ、〇円以上での調整をご検討いただけますと幸いです」

  • 「継続的な業務遂行の観点から、一定以上の報酬が必要となっております」

主語を「相手」にせず、「自分の状況や方針」として伝えることで、無用な対立を避け、建設的な話し合いが可能となります。

相手の反応を過度に恐れない

報酬に関するやり取りはビジネス上の当然のプロセスであり、交渉したからといって関係が悪化するとは限りません。むしろ、自身のスタンスを明確にすることで、信頼関係が深まるケースも多く見られます。

報酬交渉において最も重要なのは、自らの価値と責任を正しく認識し、対等な立場で冷静に対応する姿勢です。
適切な交渉を重ねることで、健全かつ持続可能な業務環境を築くことができます。

この記事をシェアする

  • Twitterでシェア
  • Facebookでシェア
  • LINEでシェア