前回は製販分離で成功したFCビジネスとしてコカ・コーラ社を紹介しましたが、今回はもう一社のGM(ゼネラルモーター社)を紹介します。
19世紀の終わり頃から米国では自動車産業が発展し始めます。当初、自動車はメーカーから消費者に直販されていました。しかし、自動車メーカーの一社であったGM社が、販売権をディーラーに与え製販分離のFCシステムを導入しました。その狙いは3つでした。
①メーカーであるGM社は、販売の手間やコストを省く事で製造に専念出来る。また巨額の投資を生産分野に集中させる事が出来る。
②成功報酬に基づいているためにディーラーのモチベーションが上がり販売増が期待出来る。
③FCシステムを徹底する事で全米各地でGM社のブランドロイヤリティを確立出来る。
ここでも『製造』と『販売』の役割を明確に分け、お互いが自社の役割に特化・専念する事で、手を携えて事業を拡大し、相互に利益を上げるというスキームにより発展が図られたわけです。そして、自動車産業界におけるFCビジネスの成功は、自動車の普及に伴い需要が拡大したガソリン小売(ガソリンスタンド)業界にも波及していきました。
コカ・コーラもGM車もブランド商品です。このようにブランド商品の『製造』と『販売』をメーカーであるフランチャイザーと販売代理店であるフランチャイジーが役割分担するFCシステムを『伝統的FCシステム』と呼びます。あるいは『商標ライセンス型FCシステムと呼ぶ場合もあります。このFCシステムの大きな目的は、お互いが自社の業務に専念し、協力し、補い合い、共に発展していく事です。FCシステムの原点はここにあります。