一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 鉄のまちと玉鋼-1 玉鋼について

こんにちは。

将来的な事業化を見据えて、北海道室蘭市で玉鋼を作っています。

「玉鋼って聞いたことあるけど、どんな鉄なの?」
「日本刀に使われてるって本当?」
そんな疑問をお持ちの方へ向けて玉鋼のあれこれをお伝えします。

◆ 玉鋼とは?
玉鋼は、日本古来の製鉄法「たたら製鉄」によって作られる、非常に純度の高い特別な鋼です。
通常の鉄とは異なり、鉄鉱石ではなく「砂鉄」を原料とし、木炭の火力でじっくりと時間をかけて生成されます。

その名の通り、「玉のように美しい」鋼で、光沢のある銀白色をしています。
硬さと粘りのバランスが絶妙で、日本刀をはじめとした高品質な刃物に用いられてきました。

◆ どうやって作るの?
玉鋼が生まれるのは「たたら炉」と呼ばれる、伝統的な炉の中。
職人たちは3日3晩、休むことなく火を絶やさず、炉の中で砂鉄と木炭を交互に投入していきます。
最終的に炉の底に「鉧(ケラ)」と呼ばれる鉄の塊が残り、その中から選び抜かれた部分が玉鋼になります。

この作業はすべて手作業で行われ、長年の経験と勘が必要です。まさに「鉄を産む」という言葉がふさわしい、命がけの仕事です。

◆ なぜ貴重なの?
現在、日本で玉鋼を製造しているのは、**島根県奥出雲町にある「日刀保たたら」**ただ一か所。
年間の生産量はごくわずかで、文化庁の認可を受けた刀匠にのみ提供されているという、まさに「幻の鋼」なのです。

さらに近年では、日本刀以外の用途にも注目が集まり、アクセサリーや美術品、御守りなどへの活用も進んでいます。

ちなみにぼくは日刀保さまとは関りがなく、作り方も仕組みは同じですが規模もかかる時間もちょっと違う、小たたら製鉄というやり方を学んでいます。

◆ なぜ今、玉鋼が注目されているのか?
それは、「本物の素材」に価値を感じる人が増えているからです。

機械で大量生産される製品があふれる現代において、
「人の手で、時間と情熱をかけて生まれた素材」に心を動かされる方が増えています。

玉鋼には、日本の歴史・技術・美意識・精神すべてが凝縮されています。
持っているだけで、日本文化の奥深さを感じられる稀有な存在なのです。

というかそんな世界になったらいいなと思います。

◆ 最後に:玉鋼に触れてみませんか?
もしあなたが、

日本文化に興味がある

本物の素材を手にしたい

美しいものが好き
そんな方なら、きっと玉鋼の魅力に引き込まれるはずです。

美術品として、アクセサリーとして、あるいは人生のお守りとして――
あなたも、「日本の魂を鍛えた鉄」を、ぜひ一度手に取ってみてください。

 

 

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佐藤 大輔

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