個人事業主として活動していると、売上が立っていても「なぜかお金が手元に残らない」という状況に陥ることがあります。
これは利益と現金の動きを混同してしまうことが原因です。
事業を継続させるために最も重要なのは、利益ではなく「キャッシュフロー」、つまりお金の流れを管理することです。
ここで大切になるのは「売上=現金」ではないということです。
売上が計上されても、入金は1〜2か月後というケースは珍しくありません。
特に取引先が法人の場合、月末締め翌月末払いといったサイクルが一般的です。
その間にも家賃や仕入れ、広告費などの支払いは発生します。
売上が右肩上がりでも、手元に資金が不足すれば黒字倒産のリスクが高まります。
そこで、まずは「いつ・いくら入ってくるのか」「いつ・いくら出ていくのか」を明確にすることが大切です。
エクセルや会計ソフトを使って、月ごとの入出金予定を一覧化してみましょう。
これだけで資金繰りの見通しが立ち、余裕のある時期・厳しい時期を把握できます。
資金不足が予測される場合は、事前に取引先へ支払条件の交渉をしたり、金融機関に相談する準備が可能になります。
キャッシュフロー改善の鍵は固定費の見直しです。
毎月かかる家賃やサブスク料金、外注費などは積み重なると大きな負担になります。
「本当に必要か?」「より安く抑えられないか?」を定期的に確認しましょう。
特にサブスク型のサービスは無意識に増えていきがちなので、棚卸しを習慣にすると効果的です。
また、個人事業主にとって意外と大きな落とし穴が、税金や社会保険料の支払いです。
売上が増えた翌年は税額も一気に上がるため、想定外の出費に苦しむ人が少なくありません。
売上があった月には「売上の3割は納税用口座にプールする」といったルールを設けておくと安心です。
まとめると、事業が成長していく過程で最も怖いのは、資金ショートによる失敗です。
利益を追うだけでなく、日々のキャッシュフローを意識することで、安定した経営基盤を築くことができます。
売上が増えた時こそ気を緩めず、「今、手元に現金はいくらあるか」を常に把握しておくことが、個人事業主として長く成功する秘訣です。